米通商代表部(USTR)は10日、日本との新たな貿易交渉に関する公聴会を首都ワシントンで開く。自動車や農業、化学、医薬など44の業界団体幹部らが証言する予定。日本の関税・非関税障壁を問題視する声や、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)発効を念頭に、米政府に早期の対日交渉取りまとめを求める意見が出るとみられる。

USTRは10月16日に日本との交渉入りを議会に通知。米貿易関連法上、正式な交渉は来年1月中旬から可能になる。公聴会は、USTRが対日交渉の目的や狙いを策定するため、産業界から対日貿易をめぐる見解を聞くために実施する。

日本との交渉に関してUSTRにこれまでに約160件の意見が寄せられた。

事前提出された意見書や証言要旨によると、米系自動車大手3社による自動車政策評議会(AAPC)は日本の非関税障壁を批判。「米国の安全・環境基準を受け入れない政策や、かつての通貨操作」に矛先を向け、日本が改めない限り米国が市場開放で譲歩しないよう米政府に求めている。

全米自動車労組(UAW)は、日本車の輸入に上限を設定する輸入割当(クオータ)を要求。

米国食肉輸出連合会(USMEF)は、TPPや日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)発効で、米業者が不利な国際競争を強いられることに懸念をにじませ、「日本との合意達成は緊急の課題だ」と指摘している。

https://www.sankei.com/world/news/181210/wor1812100018-n1.html