日銀が21日に発表した7〜9月の資金循環統計(速報)によると、金融を除く民間企業の9月末の金融資産残高は前年比6.3%増の1210兆円と過去最高を更新した。9月までの株高で株式評価額が上昇したことに加え、積極的な対外投資が資産を押し上げた。ただ、10月以降は世界景気の減速懸念が強まっており、増加傾向が続くかは不透明だ。

企業が保有する株式残高は404兆円と前年比8.6%増えた。株高局面にあったため、評価額が膨らんだ。米国など海外市場の先高観も強く、対外証券投資は比較可能な2005年3月末以降で過去最高を更新した。海外子会社の設立や海外M&A(合併・買収)といった対外直接投資も過去最高となる132兆円に達した。

ただ足元では日米の株式相場は下落している。米中貿易摩擦などの世界経済の先行き不透明感は対外直接投資にも影を落としかねない。ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「投資を見合わせる企業が増えれば、企業の資金余剰が強まる可能性がある」と指摘する。

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