プーチンへの国内支持率は下落傾向だが……

 本国のロシアでは年金問題(定年年齢の引き上げと支給額の減額)でプーチン大統領の支持率も今年7月の時点でそれまでの78%から63%に落ちた。(参照:「El Pais」)
 他国の指導者への支持率と比較すれば、プーチンのそれは依然高い。しかし、世界報道自由度ランキングで180か国の中でロシアは148位に位置している国だ。この支持率への信頼性は疑わしい。

 ロシアは欧米からの制裁の影響もあって国内経済は厳しい状況下にある。それは報道されないだけである。それでも世界におけるロシアの勢力維持で資金を費やしている。その費用は国内に向けるべきだという批判もあって、プーチン外交への支持率も2016年の22%から18%に減少>している。(参照:「El Pais」)
 それでも15年余りのプーチンの政治はロシアの進展に貢献しているのは確かである。2000年にプーチンが初めて大統領に就任した時、彼は欧州連合と米国に協力して国を発展させる意向でいたという。ところが、欧州連合も米国もロシアが旧ソ連のような勢力を持った国家になることを望んでいなかった。寧ろ、ロシアを弱小国にすることに関心があった。特に米国はこの時だと見てソ連の連邦国の一つだったウクライナに手をつけた。ウクライナを欧米圏内に入れようとしたのである。

 それは歴史的にもロシアにとって容認できないことであった。この出来事を発端に米国そして米国の家臣とも呼べる欧州連合はロシアと対立を鮮明にするのである。その一方で、プーチンのロシアは旧ソ連の復活を誓うのであった。
 と同時に欧米がロシアへの制裁を鮮明にしたことが、逆にロシアが中国に接近することを動機づけた。その結果、現在の米国はロシアと中国を同時に敵に回することになったのである。

プーチンの底堅さにある「ソ連懐古」志向

 プーチンへの国民からの支持率が高いのは、彼が欧米に対抗して旧ソ連の復活を目指す姿に共鳴しているからである。勿論、経済的にも旧ソ連の末期の時代から比べて成長している。その一番のバロメーターは貧困層の人口に占める割合であろう。BBCの統計を見ると、旧ソ連が崩壊した1991年の翌年は35%に近い貧困層であったが、2016年には15%を切るまでになっている。
 旧ソ連復活を望むプーチンの姿に影響されたのか、国民の間でも旧ソ連へのノスタルジーが次第に膨らんでいる。

 世論調査「レバダ・センター(Levada Center)」の最近の調査によると、66%の市民が旧ソ連の崩壊を残念がっているというのである。昨年はそれが58%であった。意外なのは18歳から24歳の旧ソ連を知らない若者の間でもその解体を惜しんでいるというのだ。これまでで市民の間で旧ソ連の崩壊を惜しんだ最高率は2000年の75%であったという。現在、それに次第に近づいているということである。
 クリミアを併合してからメディアの間でも「ロシア帝国」の誕生について触れることが増えたという。欧米から非難を受ければ受けるほど旧ソ連そしてロシア帝国の誕生をロシア国民の間でより意識するようである。(参照:「El Pais」)

 旧ソ連が崩壊した時は一夜にして市民が貯蓄していた貯金も水の泡となったのであるが、「旧ソ連の時代は恐れを感じることがなかった。しかし今は、誰も我々のことを気に掛けてくれない」と年金受給者のミハイル・フィリポフ(仮名)が語ったそうだ。(参照:「El Diario」)
 しかし、旧ソ連も時代の変遷によって様相が異なった。1970年代までは発展性のある経済成長を保ていたが、1980年代になってブレジネフの長期政権は官僚制度の支配が濃厚になり体制に腐敗が蔓延。その影響から経済面での生産制は衰え経済成長は後退。品不足なども発生するようになって、物品を手に入れるのに長蛇の列に並ばねばならないという事態を生んだ。ゴルバチョフ政権になって経済改革を試みるが政治の対立が激しくなって、民族問題も再燃して連邦制の維持も難しくなってソ連の崩壊へと導いて行ったのである。
 現在のロシア国民はそうした歴史を忘れてしまったのか? 旧ソ連へのノスタルジーも70年代までの世界にも影響力を与えていた国家体制へのノスタルジーであろう。

http://news.livedoor.com/article/detail/15812471/

★1:2018/12/31(月) 00:08:49.57
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