2019年1月14日 7時0分
日本農業新聞

 北海道米の販売拡大へ、生産者やJAグループ北海道では独自の栽培基準を設けるなど、品質向上や安全・安心な米作りに力を入れたブランド化を進めている。JA新すながわ管内の生産部会は栽培に厳しい水準を設け、結果を「見える化」。構成員が切磋琢磨(せっさたくま)し、品質向上を目指す環境を整備する。道内の主力品種の一つ「ゆめぴりか」でも、産地JAや生産者らでつくる協議会やホクレンが食味の維持に一体で取り組む。
各産地が切磋琢磨

 稲作の盛んな空知地方の奈井江町で昨年12月中旬に開かれた、JA新すながわ特別栽培米生産組合の出荷反省会。JAの会議室に集まった生産者は、生産・出荷実績が書かれた資料を確認した。資料には組合員の名前や面積、種まき時期に加え、品質の基準となるタンパク含量の割合が記されている。平均タンパク含有率と製品収量に基づきA〜Dの評価も示す。

 自らの栽培履歴と成績だけでなく、仲間の結果も一目瞭然。生産者の顔は真剣で、ざわつきもない。結果を公表することについて、同組合の加藤勉組合長は「他の組合員と、どこが違うかを考えるようになる。競争しないとレベルは上がらない」と強調する。

 昨年は全道的な夏場の日照不足などで、同生産組合も収量や品質は例年より大きく落ち込んだ。米24ヘクタールなどを栽培する大関光敏さん(56)は「2年連続で同様の状況は回避したい。良い苗を作り品質を守りたい」と意気込む。

 同組合は前身となる研究会を経て、2013年に発足した。構成員は現在71人。目標収量10アール510キロ、全量タンパク含有率6・8%以下の基準を設ける。基準達成へ全筆の土壌分析と施肥面談を行う他、栽培講習会や消費地の視察など、全体のレベル向上も進める。

 JA管内には同組合以外にも、生産者らが「JAゆめぴりか生産協議会」や「JAカエル倶楽部(くらぶ)」を組織。それぞれ、独自基準などを設け品質向上にしのぎを削る。加藤組合長は「量ではなく、特色のある米を作らないと生き残れない」と強調。ブランド化で品質を向上させ産地を維持する戦略だ。

 昨年11月のJA北海道大会の決議でも、農業所得増大への取り組みの柱に、米のブランド化を据えた。道内の生産者や産地JAなどでつくる「北海道米の新たなブランド形成協議会」は、「ゆめぴりか」の種子更新率100%やタンパク含有率などの基準を設定。基準を満たせば同協議会の認定マークを表示する。産地では品種ごとに部会を設け、協議会の基準に独自のこだわりを加え、ブランド化を進める動きも広がっている。ホクレンは「北海道の結集力を生かし、ゆめぴりかのブランドを維持し、北海道の米を守りたい」(米穀部)と強調する。

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