まるであしたのジョー なぜ高架下に重量挙げ道場が


 阪急電車の音が響く高架下の空き地で、老若男女が鍛錬に励む
ウエイトリフティング道場が兵庫県尼崎市にある。夏は蚊が舞い、
冬は寒風が吹き抜ける環境ながら、全国大会で活躍する選手を輩出してきた。
それにしても、なぜここで? 道場を運営する井本勝さん(47)に聞いた。

 ――なぜ高架下なんですか

 実は、街中でウエイトリフティングの練習場所を確保するのって結構
難しいんです。バーベルを床にドーンと落とすでしょ。大抵の場所は音や
振動で苦情が出る。でも、ここならそういう心配がない。
上は線路、横は道路、ずっと音が鳴りっぱなしですから。

 ――どういう経緯でここに

 かなり以前から、この空き地の隣にあるコミュニティーホールで
子供たちに空手を教えていたんです。それで空き地に目を付けて、
「ここなら前々からやりたかったウエイトの道場を開けるんじゃないか」と。
地元の町会が管理している土地なので、町会にお願いして使わせてもらう
ことになりました。

 空手の教え子たちに「ウエイトリフティングって知ってるか」
「やりたいか」と尋ねたら、中学生2人が「やりたい」と言ってくれて。
それがスタート、2009年のことです。

 ――それ以降、全国中学生選手権で道場生が次々活躍。優勝した子も
2人いますね

 空手の教え子たちがどんどんこの競技を始めてくれ、お互い刺激し合い、
競い合って、力を伸ばしてくれました。

 生徒は現在、小学2年の女の子から70代の男性まで20人余りいます。
中には大阪や京都、和歌山から通ってくる人もいる。高校や大学の部活は
別として、一般の人がこの競技を学べる場所というのは、
まだまだ少ないんですね。

 ――高架下ならではの苦労もあるのでは

 いえいえ。道場を開いたころ、…(以下有料会員限定記事)


朝日新聞・宮武努(2019年1月16日17時22分)
https://www.asahi.com/articles/ASLBJ3TRGLBJPIHB006.html