日産、ゴーン前会長に損害賠償請求へ


 日産自動車は前会長、カルロス・ゴーン被告(64)による会社資金の
不正支出で損害を受けたとして、ゴーン前会長に損害賠償請求する。
日産の内部調査で、ゴーン前会長の姉との実体のない業務契約などの不正が
次々と判明しており、前会長らによる会社の「私物化」の全容を解明し、
民事上の責任を問う。

 関係者によると、日産は2003年3月、ゴーン前会長の名前で姉に書簡を
送付し、「本年より『グローバル寄付諮問委員会』を設立し、あなたを
唯一のアドバイザーかつ委員として契約する」と伝えていた。03〜16年に
計75万5000ドル(約8200万円)を支払った。

 だが、こうした委員会は存在せず、姉が日産のために仕事をした形跡も
ないという。日産では取締役や役員が家族を採用する場合、取締役会で
決議しなければならないが、そうした手続きもなかった。

 このほかにも、ゴーン前会長らの指示で海外子会社を通じた高級住宅の
購入・改装費や大学への寄付、ヨットクラブの会費なども日産の資金から
不正に支払われていたことが確認されている。日産はこうした行為が会社に
損害を与えたと判断し、損害賠償の請求を決めた。

 日産は昨年11月、内部調査結果からゴーン前会長を解任したが、その後も
中東の知人側への送金など対象を世界各地に広げ調査を続けている。
不正の全容を解明した上で、損害賠償を請求するとともに、調査結果を
公表する考えだ。


毎日新聞【松本尚也】(2019年1月16日 19時18分、最終更新 1月16日 19時18分)
https://mainichi.jp/articles/20190116/k00/00m/020/199000c