職員への暴言が問題になった兵庫県明石市の泉房穂市長(55)は1日、市議会議長宛てに2日付の辞職願を提出し、午後2時から市役所で記者会見を開いた。暴言について改めて謝罪し、「リーダーとしての資質に欠けている」と辞職の理由を述べた一方で、辞職に伴う市長選に出馬するかについては明言しなかった。


 泉市長は冒頭、15秒間ほど深々と頭を下げた。

 「まず最初に、改めて今回のことにつき、明石市民を始め(とする方々に)、本当に申し訳ないと思っています。1月29日、記者会見を開いて、許されない行為であり、自らに対して処分をする旨をお伝えしておりましたが、辞職をもって他に選択肢はないという結論に至りました。この間、市長としての責任という2文字を真剣に、本当に必死に考えました。リーダーとしての資質、そうしたテーマも精いっぱい考えました。もちろん、市長として4年の任期をしっかりとやり遂げる責任もあります。しかしながら、その責任があるからといって処分内容が変わることはないと考えます。

 今回の私の行為は断じて許されないことであり、それがいかなる動機から発したものであったとしても、許されることにはならない。また今回のきっかけとなった、いわゆる立ち退き交渉の遅れは、その責任は一手に市長にあり、部下にあるわけではありません。もっとしっかりと早い段階から状況をつぶさに確認し、市長は当然人事権もある立場ですから、重要事業であれば、その分野により多くの人員を配置するなど、やれるべきことは数多くあったにもかかわらず、それを放置したのは市長である私の責任であり、その責任も合わせて私が負うべきだと考えています。

 これまでも不祥事に対して厳しい対応をとってきた者として、自分自身に対する処分がそれよりも軽いことはあり得ません。自らにこそ厳しい処分を下すべきと考え、辞職という決断に至りました。どうして本日なのかということは、結論が明確な以上、速やかにそれに沿った対応をするべきことに加え、その間の報道を含め、現在、市役所の業務が、数多くの電話などにより支障を来している状況にあり、市民に迷惑が及ぶので、一刻も早くそれを解消すべきだという思いもあります。特に今回の報道を受け、『明石市の職員の仕事の仕方が問題ではなかったか』というような意見も出ている中で、『それは明確に違うんだ。市長の責任で、職員の責任ではない』とはっきりと、より早く伝えたいという思いもありました。

 また、リーダーとしての資質を考えた時、今の私がリーダーの資質を欠いているのは明らかです。部下をどなったり、土下座をしたりするのが市長の仕事ではありません。自分の感情をコントロールできず、激高することそのものが、リーダーとして資質を欠いているのは明らかです。加えて、自らの得意分野である子育てや福祉行政などについては、密に連絡を取り合いながらしっかりと施策を進めていたのにもかかわらず、苦手分野の道路行政はいわば任せきりにし、勉強をしっかりすることなく今日に至ったことも、リーダーの資質を欠いていると私は思っています。

 『しんどいことは後回しにするな』と私が発言したという報道もありましたが、自分の欠点である怒りの感情をコントロールできないこと、得意分野ばかりに関心がいき、苦手分野を後回しにすること、この二つは自分自身の欠点であり、この欠点はすなわちリーダーの資質を欠いているということだとも、改めて深く反省しているところであります。今回のことは明石市民のみなさんを始め、明石市の街づくりに応援頂いた方に対して、本当に申し訳ないと、深く深く反省しています。

 最後に明石市の職員は本当にしっかり仕事をしています。一生懸命それぞれの持てる力を発揮しながら仕事をしているのであって、決してさぼっているわけではありません。市役所の職員は本当に頑張っている。こんな欠点だらけの市長とともに明石の街づくりを一緒になってやっていただいた市の職員に本当に感謝を伝えたいし、自分の対応について、市の職員におわびしたい気持ちでいっぱいです。申し訳ありませんでした」

――1月29日の記者会見では、市民に4月の市長選で判断してほしいと言っていたが、改めて立候補の意向は。

 「29日の記者会見でそのような話はしました。ただ、自分自身への処分をする必要があります。処分は辞職だということが本日の結論であり、それ以上のことはまだ考えられる段階ではありません」

(つづく)

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190201-OYT1T50364/
2019/2/1