建物の鉄骨同士をつなぐハイテンションボルト(高力ボルト)が全国的に不足している。首都圏で東京五輪関連の建築需要が高まる一方、原料となる鋼材が不足し、生産が追いついていない。雪が降る青森県では冬場に建てる物件が少ないため、首都圏に比べて影響は少ないものの、県内の建設会社からは工期の遅れなど今後の影響拡大を懸念する声も聞かれる。

「高力ボルト不足が昨年夏ごろから顕著になってきた」と山内土木(青森県むつ市)の山内将邦社長は明かす。取引がある建設資材の商社からは、高力ボルトの納入まで6カ月待ち−との回答があったという。

 山内土木によると、高力ボルト不足のため設定工期に間に合わないとして工事業者が入札を辞退し、再入札となった工事もあるという。山内社長は「地方の建築物は半年から10カ月程度の工期が多い。ボルトの納入だけで6カ月かかると建築を依頼されても工期を示せない。大きな規模の工事なら工期も長いため、余裕を持ってボルトを発注できるのだが…」と悩ましげだ。

 国土交通省が昨年10〜11月に鋼材関係を取り扱う会社を対象に行った調査によると、全国では通常1.5カ月の納期が6カ月にまで長期化、8割強の工事で工期に影響が及んでいる。東北地方では通常1.4カ月だが、5.4カ月となっている。

要因は高力ボルトの原料となる鋼材の供給が需要に間に合っていないことだ。鋼材は建築や自動車、機械製造で使用されるが、首都圏で東京五輪関連や大型再開発などの建築が進んでいることと、自動車、機械製造の好調が相まって需要が大きく増えているという。

 「高力ボルトはバブル期並みの需要になっている」と話すのは県内の建設資材専門商社の担当者。同社では高力ボルトの納期は通常1〜2カ月だが、現在は4カ月かかる。

 高力ボルトは耐震など建物の強度に関わるため、保存期間が決まっており、作り置きはできないが、不足を見越して先行して発注する企業が目立っているという。同社の担当者は「需給の逼迫(ひっぱく)はいつまで続くか、分かっていれば苦労はしない。今後も続く見通しなので、青森県でも春以降に着工する物件に影響が広がるかもしれない」と話した。

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2019年2月14日更新
https://www.toonippo.co.jp/articles/-/152172