2019年2月26日7時1分
 「餅は飲み物」。山形県河北町の溝延地区の男性たちはそう考えている。はたから見れば危険極まりない食べ方、もとい「飲み方」。50〜80代の男性たちによる「溝延一升宝餅保存会」(井上與四助会長)の総会を、24日に訪ねた。

 ズッ、ズズッ……。ピンポン球ほどの大きさのつきたての餅が、日本酒で潤した男性たちののどに次々と吸い込まれていった。お手伝いの女性たちが餅をちぎっては皿に入れ、男性たちがはしですくって食べる「わんこそば」のようなシステム。かまないので1玉1秒もかからない。

 早食い選手権のようだが「普通に食ってるだけだから」と鈴木利一さん(70)。これまで、のどを詰まらせたり救急搬送されたりした人はいないという。

 味付けは山形では一般的な納豆に、ネギ、カツオ節、しょうゆ。消化を助けるため、大根おろしの搾り汁も混ぜるのが特徴だ。浸した餅はかなりやわらかく、ヌルヌルになる。

 誰がいつ始めたか分からないが、この地域では農業の節目ごとに食べる餅が愛されてきた。子どもたちも、小玉の餅をのみ込むという。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASM2S7J7QM2SUZHB00C.html