セブン-イレブン本部と加盟店オーナーの関係悪化は、アメリカでも深刻だ。プライベートブランドの商品を売らなければいけないプレッシャーに、500万円の契約更新料……加盟店オーナーに本部と交渉する余地などない。そんな悲惨な実態を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝えた。

アメリカのセブン-イレブンには、冷凍ピザや洗濯用洗剤などプライベートブランド商品がいくつも置いてある。それらは競合他社であるネスレやゲーターレードの商品よりも安いことが多いが、常に買ってもらえるとは限らない。だが、全米9100店舗のほとんどのフランチャイズ加盟店オーナーは、それらの商品も棚に並べなければならないのだ。

フロリダ州で行われたセブン-イレブンの2018年次総会で、加盟店オーナーたちはこう述べた。

「プライベートブランド商品は、自分たちの利益を出しにくくしている原因の一つだ」

セブン-イレブン本部は卸売業者を指定したうえで、商品価格を新たに定めた契約を結ぶことも加盟店オーナーたちに求めていた。そのことが、本部と加盟店オーナーの関係を悪化させた、との非難もあった。

「もう、『あなたが1ドル稼いで、私たちも1ドル稼ぐ』という関係ではなくなりました」

そう話すのは、フロリダ州に3店舗を所有し、全米加盟店連盟の副会長であるマイケル・ジョーゲンセンだ。彼は、セブン-イレブン本部の優先順位が変わってしまった、と漏らす。

・500万円を超える契約更新料!・

本部と加盟店オーナーの関係はここ数年間、悪化の一途をたどっている。2000年代初頭はまだ本部と加盟店は利益を折半していた。しかし加盟店オーナーによれば、セブン-イレブン側がより大きな割合を取っていくようになり、契約を更新しないオーナーたちの利益はさらに縮小されていった。

加盟店オーナーには本部と交渉する力がない。多くは契約を更新するか、セブン-イレブンから去るかの決断を迫られるだけだ。全米加盟店連盟の弁護士であるエリック・カープは言う。

「私は過去35年間、これ以上に不透明で、トップダウン式で、自己中心的なフランチャイズシステムを見たことがありません」

最も議論を呼んだのは、5万ドル(約555万円)の契約更新料と、クリスマスにも店を開けておくことを要求した規定である。新たな契約では、最安値を保証できない指定業者から商品を仕入れることも、オーナーたちに強要している。

本部は新しい契約を結ぶことを強要はしていなかったとし、インセンティブも提供していたと述べた。またあるとき、書面で加盟店オーナーとの「強く結ばれた生産的な関係」を楽しんでいるとも書いた。

親会社である日本のセブン&アイホールディングスは、最新年度のアメリカを含む海外店舗の利益が0.5%減少したと発表している。アメリカでは非上場のため、売上高や利益は公開されていない。しかし、提出書類からわかっているのは、シカゴ北部の65の店舗では2017年の平均収益が97万〜180万ドルで、粗利益は35万3000〜65万5000ドルだったことだ。

かつて、フランチャイズビジネスは中流階級が起業家になる道だった。昔は、フランチャイズ本部もいくつかの店舗を自ら経営していたため、加盟店オーナーと関心の優先順位が同じだった。だが、いまでは本部の各フランチャイズ店舗の利益への関心が薄れ、加盟店オーナーが不利益を被る戦略をよりするようになっている、とオーナーたちは言う。

前出のカープは例として、本部がホットドッグやピザなどの温かい食べ物を各店舗に勧めていることをあげる。しかし、それらは労働力と食品廃棄を生むうえ、オーナーの粗利益から支払われている。

利益率が高いことから、加盟店オーナーはプライベートブランド商品を好む傾向にある。だがときに、客が競合他社の商品を好むことがあっても、本部はプライベートブランドを推す。シカゴ郊外の4店舗のオーナーであるレハン・ハシュミは、子供たちに人気のバグジュースを例としてあげた。彼は、セブン-イレブン本部が自社バージョンを発案すると、既存ブランドのジュースを売ることがより困難になったと言う。

「セブン-イレブンは、最大手メーカーを消してしまうほどアグレッシブなときがあるのです」

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Yahoo!ニュース クーリエ・ジャポン 3/9(土) 8:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190309-00000001-courrier-n_ame