「この取材先にはあなたが直接電話してほしい」。取材のアポ入れの際、インド人の同僚が言った。

 インド人は大抵、名字で属するカーストがわかる。取材先の名字は同僚と同じ商人カーストだった。同じカーストは仲間意識が強い一方で、互いを競争相手とみることがある。同僚は、自分が電話すると、アポが取れなくなると心配したらしい。

 インドではカーストのせいか、自己紹介はファーストネームだけのことが多い。カーストは歴史的に職業を規定してきた。現在でも経済界には商人カーストの成功者が目立つ。商人カーストの知人は「カーストは神からの贈り物。私には商売の才能が与えられた」と感謝する。

 上位層の知人は「社会の調和を…

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朝日新聞デジタル 2019年3月14日09時30分
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