2月中旬、「日本酒の国内出荷量で宝酒造(京都市)が、白鶴酒造(神戸市)を抜いて16年ぶりにトップ」というニュースが流れた。
「伏見」がライバルの「灘」から首位の座を奪い返したことになる。日本酒を取り巻く環境は、実は楽観できるものではない。国内出荷量が年々減り続けているのだ。

日本酒の国内出荷量は、ピーク時の1973年には170万キロリットル超あった。
それが、98年には113万3000キロリットルに、2008年には65万9000キロリットルへと減少し、17年は53万3000キロリットルと、ピーク時の3分の1以下に落ち込んでしまった。

日本酒離れは深刻だが、吟醸酒、純米酒などの「特定名称酒」の出荷量に限ってみると、ここ数年間、増加傾向にある。
消費者は低価格の普通酒よりも中高価格帯の特定名称酒を選ぶようになってきたということだろう。

そんな日本酒業界にとって明るい材料は、輸出が好調なことだ。18年の日本酒の輸出量は2574万6831リットルで前年比10%増、金額は222億3150万円で19%増。9年連続で過去最高を更新した。

輸出金額の伸びが数量を上回っていることからわかるように、輸出においても中高価格帯の商品が支持されている。国内出荷が減少するなか、輸出をどこまで増やしていけるかがポイントになる。

●日本酒消費量は東高西低

国内出荷が低迷する日本酒だが、その販売(消費)状況を都道府県別に見てみよう。国税庁のデータ(17年度の販売数量)によると、清酒の販売(消費)数量のベスト5は次の通りだ。

(1)東京都 6万8824キロリットル
(2)大阪府 3万2734キロリットル
(3)神奈川県 3万241キロリットル
(4)埼玉県 2万5179キロリットル
(5)愛知県 2万2471キロリットル

当然のことながら、人口の多い大都市圏が上位を占めた。10位まで見ると酒処の新潟県が8位に入っている。

このデータを基に、15年の国勢調査の成人人口データから、1人当たりの清酒消費量を弾き出した。そのベスト5は以下のとおり。

(1)新潟県 11.18リットル
(2)秋田県 9.68リットル
(3)山形県 7.79リットル
(4)福島県 7.51リットル
(5)石川県 7.40リットル

トップ5の県は、いずれも日本酒づくりが盛んな地域だ。越乃寒梅、高清水、十四代、飛露喜、菊姫など、それぞれの県の有名な酒の銘柄がすぐに浮かんでくる。
6位以下は富山県、長野県、島根県、福井県、岩手県と続く。西日本で上位10県に入ったのは島根県のみ。東高西低がクッキリ浮かぶ。全国平均は5.05リットル。総消費量トップの東京都は5.97リットルだった。

●IWC2018の日本酒部門で最優秀に選ばれたのは福島県の「奥の松」

1984年に始まった世界的なワインコンペ「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)では、2007年から「SAKE」部門が設けられている。
18年の日本酒の最優秀賞「チャンピオン・サケ」に選ばれたのは、「奥の松 あだたら吟醸」(福島県・奥の松酒造)だった。
SAKE部門の9カテゴリー(純米酒の部、純米吟醸酒の部、純米大吟醸酒の部、本醸造酒の部、吟醸酒の部、大吟醸の部、
古酒の部、スパークリングの部、普通酒の部)に1639銘柄が出展。審査員がブラインド・テイスティングで審査した。

9カテゴリーで97銘柄が金メダルに選ばれ、吟醸酒の部で金メダルに選ばれた「奥の松」が「チャンピオン・サケ」に輝いた。

ちなみに、歴代の「チャンピオン・サケ」はどんな銘柄か。17年は「南部美人 特別純米」(岩手県・南部美人)、16年は「出羽桜 出羽の里 純米」(山形県・出羽桜酒造)、
15年は「会津ほまれ 播州産山田錦仕込 純米大吟醸酒」(福島県・ほまれ酒造)。この数年、東北の蔵元が立て続けにチャンピオンになっている。

筆者は最近、都内のスーパーで「奥の松」を見かけ、購入して飲んでみた。華やかな香りと辛口のすっきり爽やかな風味は、常温で楽しむのにピッタリだった。
日本酒の酒蔵は国内に1500以上あり、全国各地でうまい酒づくりが続いている。いい酒、うまい酒が増え、それが認知されていけば、減り続けている国内出荷、消費にも歯止めがかかる日が来るだろう。

https://news.goo.ne.jp/picture/business/bizjournal-bj-53324.html
(Business Journal) 08:00

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