同和地区や被差別部落の地名を一覧化した「部落地名総鑑」の原本復刻版がインターネットのフリーマーケットに佐賀県内から出品され、3冊が購入されていたとみられることが分かった。同著を巡っては部落解放同盟が申し立てた出版禁止の仮処分が決定し、東京地裁で本訴訟が続いている。

 唐津市と佐賀県によると同市職員が今年1月20日、フリマアプリに「復刻 全国部落調査」が出品されていることに気づいた。約200ページで、発送元地域は佐賀県、売価3500円とされ、「以前(大手通販サイトから)販売される予定だったが、突然出版中止となった幻の本」と解説が添えられていた。

 市から連絡を受けた県人権・同和対策課が翌21日、佐賀法務局に報告するとともに、運営会社にサイトを通じて「不適切な商品」と通告。その後、再度2月4日に削除を要請し、同日に削除されるまでの間、3冊が購入された形跡があった。

 「全国部落調査」は1936年に刊行された被差別部落の調査報告書で、「部落地名総鑑」の原本の一つとされる。神奈川県の出版社が2016年2月、ホームページで復刻版の出版を予告。部落解放同盟が出版差し止めを求める仮処分を申し立て、横浜地裁が同4月、出版禁止の仮処分を決定している。しかしネット上でダウンロードできたことから、出品本はこのデータを印刷したとみられる。

 部落解放同盟佐賀県連の濱本隆司委員長は「インターネットを悪用し、差別行為が広がっている現実を突きつけている」とし、「情報化の進展など状況の変化に対応した部落差別解消推進法に準じ、県や市町も条例化を急ぐべき」と話す。

佐賀新聞 3/22(金) 9:15
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190322-03352381-saga-l41