来年度から使用される小学校の教科書で、江戸時代初期の日本を赤く塗った地図が文部科学省の検定により、北海道以北を白くする修正が行われた結果、北方領土を固有の領土とする政府見解と矛盾しかねない内容になっていることが13日、分かった。教科書で学んだ子供たちに、北海道以北が日本でないかのような印象を与えることになり、波紋を呼びそうだ。

 修正が行われたのは小学6年用の社会科教科書。江戸時代初期の対外貿易などを学ぶページに掲載された地図に検定意見が付き、「北海道、千島、樺太(からふと)の塗色で、児童が誤解する恐れのある図」とされた。このため教科書会社では、赤く塗っていた日本列島のうち北海道と北方領土を白くする修正を行い、検定に合格した。

2019.4.13 産経新聞
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江戸初期の地図に「くなしり、えとほろ」 領土示す証拠は存在

 江戸時代初期の日本を赤く塗った地図が文部科学省の検定により、北海道以北を白くする修正が行われた小学校の教科書。来年度から使用されるのを前に、北方領土返還運動の関係者などから「固有の領土について子供たちが誤解するのでは」と懸念する声が上がっている。領土問題の指導充実を盛り込んだ新学習指導要領が来年度から全面実施されるが、その趣旨から外れているともいえ、指導上の混乱も生じそうだ。

 「なぜ北海道以北が日本と同じ色でないのか、唖然(あぜん)とするほかない」

 北方領土返還要求運動連絡協議会の児玉泰子事務局長は、地図の色分けで北海道以北を「日本」から外したことに、強い違和感を訴える。同協議会では長年、北海道も北方領土も江戸時代の昔から日本の領土であるとパンフレットなどで啓発してきた。歯舞(はぼまい)群島志発(しぼつ)島の元島民でもある児玉事務局長は、「子供たちに誤った認識を持たせてはならない」と話す。

2019.4.13 産経新聞
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