https://www.sankei.com/world/news/190419/wor1904190016-n1.html

火災で損壊したフランスのノートルダム大聖堂の再建をめぐり、元通りの姿に復元すべきか、新デザインにすべきかで、
国内論争が起きている。

政府は17日、尖塔(せんとう)の再建について、世界中の建築家に呼びかけて国際コンペを行うと発表した。
マクロン大統領はこれに先立ち、5年以内の再建を目指す方針を掲げ、「より美しい姿にしよう」と呼びかけ、
デザイン変更に前向きな姿勢を示した。

これに対し、保守系の最大野党「共和党」のボキエ党首は「元通りの姿にすべきだ」との考えを表明。
同党幹部は「大統領は謙虚になるべきだ」と注文付け、「国民の声を問う」としてインターネットの意見募集を開始した。
極右「国民連合」のルペン党首も、新デザインの導入に反対した。

文化財の建築家の間でも意見が分かれる。「耐久性を優先し、木造の骨組みや鉛製の屋根は、現代の軽い金属に替えるべきだ」
との声に対し、「歴史的建築物は忠実に再現すべきだ」との反論が出た。

大聖堂は14世紀に完成。尖塔は倒壊の危険から18世紀に撤去された。19世紀、文豪ユゴーの呼びかけで大聖堂が
全面修復された際、建築家ビオレ・ル・デュクが、かつての尖塔に新デザインを加えて復元した。