残業時間の上限規制や有給休暇(有休)の取得義務化を盛り込んだ働き方改革関連法が4月から順次施行され、兵庫県内の企業もさまざまな工夫を凝らした対策に乗り出している。職場に「蛍の光」を流して退勤を促したり、有休を連続取得した社員に奨励金を支払ったり。在宅勤務の大幅拡充を始めた神戸製鋼所(神戸市中央区)のように、働き方を抜本的に見直す動きも広がっている。(大島光貴)

 午後6時。事務所にもの悲しい「蛍の光」のメロディーが流れると、社員らは仕事を切り上げ、帰り支度を始める。ステンレス・アルミ商社、太平工材(姫路市)が実施する残業をなくす秘策という。

 平位(ひらい)稔之社長(51)によると、以前は午後9時以降も働く社員が目立ち、月平均残業時間は最大80時間あった。試しに6年前、蛍の光を午後8時に流したところ居残りが減り、同7時に早めると残業時間が半減したという。今月から水曜のみ同6時に流し、来年にも全曜日に広げる。

 残業時間の上限規制は月45時間、年間360時間が原則。中小企業への適用は来年4月で、違反には罰則として6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。取得を義務づけられた有休日数は、企業規模に関係なく年5日以上。守れなければ罰金が科されるため、各社はどう有休を取得させるかに知恵を絞る。

 森本倉庫(神戸市中央区)は今月、有休を3日以上連続して取得した社員に年に1回、3万円の奨励金を支給する制度を導入した。2年間の計画だが、全員が取得できるようなら継続を検討する。

 計画的な有休取得を促し、早期に5日分の達成を目指すのは但馬信用金庫(豊岡市)。3月に4〜7月の有休取得予定を、7月に8〜11月分を全職員に提出させ、「11月までに5日間取ってもらう」(小山尚之人事部長)計画だ。

 関連法施行に合わせ、社員の声を採り入れて働き方を見直した企業もある。

 業務用音響機器大手のTOA(神戸市中央区)は2年前、人事部や各部署、労働組合の中堅社員ら約15人でつくる「働き方改革プロジェクト」を発足させた。現場から上がった意見をもとに検討を重ね、今月、有給休暇の5日連続取得推奨や在宅勤務制度を導入。フレックスタイム制度の運用も柔軟にした。担当者は「意欲の高い従業員を支援する制度が実現でき、手応えを感じる。しかし、今はまだ制度化しただけ。さらなる生産性向上や環境改善を目指す」と話す。

 神戸新聞社が3月に実施した県内主要企業アンケートでは、働き方改革に関して実施済みか1年以内に導入予定の取り組みを複数回答可で尋ねたところ、回答した全180社のうち、「有休取得率向上」が146社(81%)で最も多く、「残業削減強化」が117社(65%)と続いた。

4/20(土) 13:38
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