保育士の旧姓使用、答申へ=別姓論議に影響も−規制改革会議
2019年04月21日08時18分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019042000227&;g=soc

 政府の規制改革推進会議(議長・大田弘子政策研究大学院大特別教授)は5月中にもまとめる答申に、国家資格取得者による旧姓使用を保育士などに拡大することを盛り込む方向だ。安倍政権が掲げる女性活躍政策の一環だが、結婚後もそれぞれの姓を名乗り続けることを認める「選択的夫婦別姓制度」の導入論議への影響を指摘する声もある。

 国家資格のうち、弁護士や公認会計士などは旧姓が使用できるものの、保育士や介護福祉士は「本人確認が困難」などの理由で旧姓による登録が認められていない。ただ、女性の社会進出を阻んでいるとの意見があり、女性活躍担当でもある片山さつき規制改革担当相が結婚で姓が変わっても働きやすい職場環境を整える観点から見直しに意欲を示し、推進会議が議論に着手した。

 選択的夫婦別姓賛成派が唱える根拠の一つに、一部の国家資格で旧姓での登録ができないことがある。安倍政権下では、支持基盤の保守層が「家族崩壊につながる」と夫婦別姓に否定的なこともあり、議論は下火になっているが、保育士などに旧姓登録を認めれば、別姓論議の機運がさらに弱まる可能性がある。
推進会議のある委員は「旧姓使用の拡大を認めることはもろ刃の剣だ。難しい」と語る。

 選択的夫婦別姓をめぐっては、法制審議会(法相の諮問機関)が1996年に制度導入を答申したが、政府・自民党の調整が付かなかった。民主党政権下の2010年も法務省が関連法案を準備しながら提出に至らなかった。