大学を中心にしたネットワーク

シリコンバレーで最も有名な大学といえばスタンフォード大学だが、UCバークレーもあるし、少し離れればUCデービス、UCサンタクルーズもある。
その他にも、UCサンフランシスコ、サンノゼ州立大、サンフランシスコ州立大など、様々に特色のある大学が存在している。

これらの立派な大学の存在が、シリコンバレーという「産業クラスター」の形成に大きな役割を果たしたとする見方は根強い。

●産学連携プロジェクト
アメリカの大学は私学が中心と思っている方がいたら大きな誤解だ。
スタンフォードやMIT、ハーバードなど有名私学もあるが、一流大学には州立大学が非常に多い。
バークレーやLAなどUCの各校、ワシントン大学、テキサス大学、ユタ大学、ウィスコンシン大学等々。
これら州立大学の設立目的の第一は、優秀な人材を育成し州経済に貢献することだから、そもそも産業との連携を大前提としている。

一方、私立大学はといえば、これまた企業との共同研究や、企業からの多額の寄付なくしては経営が成り立たない
(連邦政府からの私学助成金なんてないのだから)から、必死になって民間企業を取り込んだ産学連携プロジェクトを作っている。

スタンフォードで言えば、バイオ系のバイオ・エックス、IT系のメディア・エックスなどは産学連携というだけでなく、
学内でも関係する複数の学部を横断的につないだプロジェクトとして非常に興味深い。
例えばバイオ・エックスの場合、医学・薬学、生物学、情報工学の各分野が連携している。

同じようにUCのバイオ系ではQB3というプロジェクトがあり、医学に強いサンフランシスコ、化学や工学に強いバークレー、情報工学に強いサンタクルーズが連携している。

このように学内で学際的な体制を準備したり、複数大学が横断的に連携することによって、産業界との連携を一層容易にしている。
こうした産業界との連携プロジェクトを実施する際の制度的インフラ、組織的インフラの整備具合及びその実践を見るにつけ、日本の状況は1週遅れ、2週遅れだと感じざるを得ない。
http://dndi.jp/03-nakayama/nakayama_7.php