■現代のATは性能やコスト面でのデメリットが解消されてきた

 セダンに限らず、いまや乗用車のAT率は98%以上。一部のスポーツカーを除けば、ほとんどのクルマはAT車だ。国産各社の4ドアセダンでMT車が設定されているのは、トヨタ・カローラアクシオ、マツダ・アテンザ/アクセラ、ホンダ・シビック、スバルWRX STIぐらい……。

 なぜ、セダンのMTは少ないのか? 結論からいうと、ずばり需要が見込めないから。かつてのATは、3速ATや4速ATが普通だったので、ギヤレシオが荒く、しかもMTよりも複雑で部品点数が多い分、ミッション自体の重量が重くて価格も高価だった。そのため排気量が大きく低速トルクに余裕があり、車両価格が高い高級セダンからATは普及していった歴史がある。

 ご存じのとおり、日本の道路は高速道路も市街地も幹線道路も渋滞している時間が非常に長い。一般道では信号も多く、住宅街では路地も多々あり、とにかくストップ&ゴーが多い。おまけに平地が少なくアップダウンが多いことを考えれば、一度AT車を愛車にしてしまったら、よほど物好きではない限りMT車に戻りたい人は少ないだろうし、そういう人はそもそもAT車を選ばない。

■技術のあるハイヤー運転手のMT操作よりイマドキのATはスムース

 それでもひと昔前までは、ハイヤーなどに使う高級車はATに任せるよりもベテラン運転手がMTで変速操作をした方がシフトショックが少ないといって、タクシーはAT車でもハイヤーはMT車、といった時期があった。しかし、多段ギヤが当たり前になった昨今では、高級車でもATが当たり前。

 ATも年々高性能化して、以前はATのデメリットといわれた、燃費、耐久性、重量、コストも、MTに勝るとも劣らないレベルになっている。そうしたなか、ニーズもないのにMTを開発し、生産ラインを用意し、補修パーツをストックするのは、メーカー側にとって何のメリットもない。

 売れないものにはコストをかけられない……。購入したいと思う人がほとんどいない現状では、セダンのMT車は教習車など特殊な需要を別にして、減ることはあっても増えることはないだろう。

2019年5月9日 18時0分 WEB CARTOP
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