約100年前に敷設された軌道を走るミャンマーの最大都市ヤンゴンの環状鉄道を、日本の官民が協力して改修する。新たな信号整備や車両を導入して速度を上げ、乗客増をめざす。ミャンマーの開発事業に熱心な中国を見据え、現地での影響力拡大を狙う。

 18日、ヤンゴン中央駅で、ピョーミンテイン・ミャンマー管区首席大臣や丸山市郎・駐ミャンマー大使が出席し、記念式典が開かれた。丸山氏は「駅周辺開発などでも積極的に取り組みたい」とあいさつした。

 環状鉄道は英植民地時代の1915年に敷かれた軌道をもとに59年から運行されてきた。全長は46キロで、山手線より10キロほど長い。市民の鉄道需要は高いものの、老朽化した車両や信号設備により、平均時速は15キロにとどまり、1周するには3時間が必要だ。

 このため、日本政府は250億円の円借款の供与を決定。大手商社などが、日本の信号システムや新型車両66台を導入する。将来は速度を2倍、乗客を3・5倍にする計画という。

 ミャンマーの開発には国境を接する中国も強い関心を示している。日本側の事業関係者は「インフラ整備で日本の存在感を示すことが大事だ」と話した。(ヤンゴン=染田屋竜太)

朝日新聞デジタル 2019年5月19日6時30分
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