◆ 遺伝子改変の中国の双子、ゲノム編集で寿命縮まった可能性 米で研究

中国の研究者がゲノム編集の技術を使って遺伝子改変した双子を誕生させた問題で、同様の遺伝子変異を先天的に持つ人は変異のない人より寿命が短いとする研究結果を、米カリフォルニア大などの研究チームが4日、米科学誌「ネイチャー・メディスン」で発表した。
変異があると感染症による死亡率が上がるとの報告もあり、ゲノム編集によって寿命が縮まった恐れがある。

昨年11月、中国の研究者が、夫がエイズウイルス(HIV)に感染している夫婦の受精卵に、子への感染を防ぐためとしてゲノム編集を施し、双子が生まれたと発表。
改変されたのは「CCR5」という遺伝子で、これに自然の変異がある人はHIVに感染しない。

チームは、英国で蓄積された40万人以上の遺伝子型と死亡届の記録を解析。
CCR5に変異を持つ人は、持たない人に比べて76歳に達する確率が約20%低いことが分かった。
CCR5に変異があるとインフルエンザなどの死亡率が上がるといった研究結果が既にあり、チームは「HIVに耐性を持たせると他の病気になりやすくなる恐れがある」としている。

双子は遺伝子を人為的に改変して誕生した初のケースで、安全性や生命倫理の観点から世界中で批判が相次いだ。
石井哲也・北海道大教授(生命倫理)は「ゲノム編集技術の進展に比べ、人の遺伝子の機能はまだ十分解明されていない。今回の研究結果は、人の誕生にかかわる遺伝子改変がいかに困難かを示している」と指摘している。

毎日新聞 2019年6月4日 00時01分
https://mainichi.jp/articles/20190603/k00/00m/040/278000c