ルノー、総会で日産経営改革案への投票棄権も
2019/6/10 7:34
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45882960Q9A610C1MM0000/

【パリ=白石透冴】日産自動車が25日の株主総会で諮る経営改革案について、筆頭株主の仏ルノーが投票を棄権する意向を伝えていたことが分かった。ルノー出身の役員が要職に就いていないと不満を持っているという。日産はゴーン体制からの脱却を目指して株主総会を境に新体制に切り替える方針だが、にわかに不透明感が強まった。
ルノーのジャンドミニク・スナール会長が7日までに日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)に書簡を送った。
ルノーが問題視しているのは、日産が指名委員会等設置会社への移行を盛り込んだ定款変更の議案だ。日産が新たに設置する指名・監査・報酬の3委員会で、ルノー出身で取締役に就く予定のスナール氏とティエリー・ボロレCEOの2役員が要職に就いていないなどと不満を示しているとみられる。
同議案の成立には過半の株主の出席と、出席株主のうち3分の2以上の賛成票を必要とする。43%を持つルノーが棄権すれば定足数を満たせず議案は不成立になる可能性が高い。ただルノーの総会での棄権はまだ確定しておらず、日産と交渉を続けるもようだ。
日産の西川氏は日本時間の10日朝、報道陣に対して、「いま話すことはない」と回答。株主総会に向けてルノーの理解を得られるかという質問については、「意見の違いがあれば話をしていく」と語った。
ルノーは日産元会長のカルロス・ゴーン被告の逮捕以来、日産が発言力を強めていることへの不満を抱いてきた。今回の人事案でルノーの存在感が一段と低下すると危機感を抱き、棄権に言及する強い姿勢に出たものとみられる。
日産とルノーは破談になったルノー・欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の経営統合案を巡り、緊張関係に陥っている。ルノーが経営改革案に不満を示したことで、2社の関係はさらにぎくしゃくする恐れがある。