トランプ米大統領はペルシャ湾で13日起きた石油タンカー攻撃について「イランがやった」と述べ、
同盟国や専門家も大方同調している。
しかし、トランプ政権が提示した証拠の強さや、次の展開を巡る疑問は解消されていない。

米国ではシャナハン国防長官代行が「状況が悪化する場合は危機管理計画の策定」が軍に必要なのは明らかと発言した。
一方、2020年米大統領選で民主党の有力候補と目されるサンダース上院議員は、
戦争の「口実としてこの事件が利用されてはならない」と主張し、
利用されれば「米国とイラン、地域、そして世界にとって紛れもない大惨事になる」と警告した。

英国はホルムズ海峡付近を航行するタンカー2隻への攻撃について、
イランが背後にいたのは「ほぼ確実だ」と指摘。国連のグテレス事務総長は
「真実を知ることが極めて重要だ」として、独立した調査を呼び掛けた。

イランは関与を認めていないが、トランプ政権は側面に穴の開いたタンカーのそばにボートが
近づく様子を映した米中央軍公表の映像や写真を根拠としている。

米国はイラン革命防衛隊がタンカーから不発の機雷を除去した様子が映像に示されていると主張。
しかし、同タンカーを所有する日本の国華産業の社長は、
タンカーに向かってきた「飛来物」が海面よりの部分にダメージを与えたため、
魚雷による攻撃との見方は考えられないと述べている。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで中東政治を専門とするファワズ・ゲルゲス教授は
「まだ明確な証拠はない。指紋もない。米軍が不確かな証拠を提示しているにもかかわらずだ」とコメント。
「イランの指導者がトランプ政権内の強硬派をあおるほど向こう見ずだろうか?
あるいはペルシャ湾岸の米国の同盟国に対して計算ずくの危険な動きに関与しているのだろうか」と語った。

イランのザリフ外相は、イランの敵が攻撃の背後にいた可能性があるとして、中東地域の対話をあらためて要請。
14日には「イランに対する経済的テロリズムなど米国の一方的な行動こそ地域の不安定化と新たな緊張の唯一の原因だ」と
ツイッターで非難した。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-06-15/PT4L1Y6S972801

アメリカは緊急会合でも改めてイランが関与したと指摘した。
これを受け、イランの国連代表部は声明を発表し、「アメリカの根拠のない主張を断固として否定する」と、
タンカー攻撃事件への関与を否定した。その上で、「最も強い言葉で非難する」としている。

https://news.livedoor.com/article/detail/16617182/