https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190710-00570865-shincho-bus_all

ここのところコンビニ業界、とくにセブン-イレブン(以下セブン)をめぐる問題が噴出している。
24時間営業での本部と店舗の対立、弁当ロスの対応、そして被害額5500万円という7Payでの失態……。
つい最近も、営業短縮を伝えた店舗のオーナーに“警告文”を送ったことが明らかになった。こうした影響は、
数字にも現れ始めた格好だ。

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6月末、日本生産性本部サービス産業生産性協議会は、顧客満足度調査の最新版を発表した(2019年度JCSI第1回調査結果)。
コンビニエンスストア部門で1位に輝いたのは、セイコーマート(以下セコマ)で76・3ポイント。これに、セブンが69・7、
ミニストップが68・1ポイントと続く。

コンビニ部門でセコマが1位に選ばれたのは、これで4年連続。人気のワケについては後述するが、注目は調査結果発表資料に添えられた、以下の文書だ。

《コンビニエンスストア業種は、2016年度から2018年度にかけて、スコアが横ばいでしたが、2019年度は上昇しています》

《セブンイレブンは、2017年度から2019年度にかけて、僅かながら低下しています》

コンビニ業界全体では満足度が《上昇》しているのにもかかわらず、セブンは《低下》……。調査は4月3日〜29日の期間にインターネットで行われた。

「7Payをめぐるゴタゴタの前であることを考えると、現在はさらにポイントを落としているかもしれませんよ」

と分析するのは、流通アナリストの渡辺広明氏だ。

たとえば、影響は客数にも見て取れるかもしれない。昨年期(18年3月〜今年2月)までの3大コンビニの既存店客数は、
セブンが前年同月比平均99・4%でトップ、ファミリーマートが98・9%、ローソン(ナチュラルローソン含む、以下同)が97・6%という結果だった。
セブンが“絶対王者”といわれるのがよく分かる数字だ。

ところが最新のデータを見ると、今年3〜5月までの前年同月比平均が、ファミリーマートが99・4%、ローソンが98・7%であるのに対し、
セブンは97・9%。昨年期にくらべ、セブンだけ明らかに客足が鈍くなっているのだ(以上、各社の月次情報をもとに算出)。売上は3カ月とも
前年比100%を超えているし、流行のキャッシュレス決済にセブンの対応が遅かったことなども影響しているはず。とはいえ、24時間問題が顕在化した
2月以降に変化が現れた点は、一考の余地があるだろう。

セコマ人気を支える北海道事情

顧客満足度を下げたセブンに対し、4年連続で1位を獲得、しかも今回、大きくポイントを上げた(昨年73・9→今年76・3)のがセコマだった。
先に種明かしをすれば、他の調査対象コンビニが全国展開であるのに対し、セコマは1186店舗中1090店舗が北海道にある超ローカルチェーン
(今年6月末の数字、他は茨城県と埼玉に96店舗)。高い顧客満足度には“組織的な道票”、もとい“道民のセコマ愛”があることは想像に難くない。

北海道の話ながら――沖縄タイムスプラスが7月6日に配信した「セブン出店前『余地あり』沖縄のコンビニ数全国45位の少なさ帝国データ沖縄調査」記事で、
人口10万人あたりのコンビニ数が最も多いと紹介されたのが、北海道の56・6店だった。その激戦地でひとり勝ちしているのが、セコマということになる。

ローソンのバイヤーとして3年間を北海道で過ごした経験のある先の渡辺氏は、セコマ人気の秘密をこう分析する。

「最新の国勢調査では、北海道の人口は約538万人。そのうち約231万人が札幌都市圏と、人口が集中しているんです。大手も北海道に進出してはいますが、
基本的に札幌エリアが中心。こうした状況にあってセコマが支持されるのは、人が少ないエリアにも出店する“生活インフラ”としての役割を果たしていることが
評価されているのでは。なにせ日本最北端の稚内には『えびす店』、最東端の根室に『うちやま歯舞店』があり、利尻島、礼文島、奥尻島にも出店しています。
人口1500人の地区にも店舗を構えているほど」

評判のいい店内調理の弁当「HOT CHEF」の影響もあるのだろうか。

「かつ丼などが定番メニューですね。北海道の方って、おにぎりを温めて食べる習慣があるんですよ。あつあつで出来立ての食べ物への需要は、
寒い北海道では特に強いのでしょう。さらに言うと、セコマは安い。我々の知っているコンビニは基本、定価販売ですが、セコマはセール価格で商品を提供する。
毎週安売りチラシを配布するのも、コンビニでは珍しいですよね」(同・渡辺氏)