2019年7月17日 19:22

検索サイトの結果表示で名誉を毀損されたとしてグーグルやヤフーに検索結果の削除を求めた2件の訴訟で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は17日までに原告側の上告を退ける決定をした。16日付。削除を認めなかった一、二審判決が確定した。表現の自由や情報アクセスの確保の観点から検索結果の削除に慎重な姿勢を示した。

グーグルを巡る訴訟では、社名で検索すると「詐欺」などと表示されるとして会社側が削除を求めた。一審・東京地裁は「検索結果が真実でないとは認められない」として請求を棄却した。二審の東京高裁もこれを支持。削除を認めるのは「重大で回復困難な損害を被る恐れがある場合に限られる」との判断を示した。

ヤフーの訴訟では、都内の男性が氏名の検索で反社会的集団との関わりを示す結果などが表示されるとして削除を求めた。2月の同高裁判決は検索結果を削除するとサイトへのアクセスが過度に制限されることなども考慮し、「検索によって重大な被害が生じる可能性があるとは認められない」として請求を退けた。

最高裁は2017年2月、犯罪歴の検索結果削除を求める仮処分申し立てを棄却した決定で、削除について「公表されない利益が優越することが明らかな場合に限って削除できる」との判断を示している。
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO47442140X10C19A7CR8000