淡路5人刺殺 控訴審の精神鑑定、一審と異なる診断

 兵庫県洲本市で2015年3月に近隣の男女5人を刺殺したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われ、一審神戸地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた無職平野達彦被告(44)の控訴審第2回公判が17日、大阪高裁(村山浩昭裁判長)であった。高裁の依頼で精神鑑定した女性医師は、一審での鑑定や判決とは異なる「妄想性障害」と診断し、事件に「妄想は圧倒的な影響を及ぼしていた」と指摘した。

 刑事責任能力の有無が争点となった一審では、地裁の依頼を受けた男性医師が過去の精神薬大量摂取による「薬剤性精神病」と診断。判決は「病気の影響は小さい」として完全責任能力を認めて死刑を言い渡し、弁護側が控訴していた。

 証人尋問で女性医師は、同被告が「電磁波攻撃から身を守る」などと主張した動機について「被害妄想しか考えられない」と指摘。妄想と本来の人格についての、どちらがどの程度事件に影響したかは「はっきりと分けては言えない」とした。

 一方、一審の男性医師に対する尋問もあり「妄想は著しい影響を与えたが、人格機能は残っていた。病気は行動をコントロールできないほど重度ではなかった」と改めて述べた。

 高裁はこの日、女性医師の鑑定書と男性医師の意見書を証拠採用した。次回公判は9月18日で被害者遺族が意見陳述し、同30日に結審する予定。

大阪高裁=大阪市北区西天満2
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2019/7/17 20:40神戸新聞NEXT