書籍発行 崙書房出版が半世紀の歴史に幕
2019年8月1日 17時40分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190801/k10012017591000.html

千葉県内の歴史や風土にこだわった書籍を発行してきた千葉県流山市の出版社が31日閉業し、半世紀にわたる歴史に幕を下ろしました。

流山市の「崙書房出版(ろんしょぼう)」は、昭和45年の創業から半世紀にわたって、県内の歴史や自然などをテーマとした書籍の出版を続けてきました。

しかし、出版業界の不況などの影響を受けて31日で閉業し、事務所の撤去作業が始まりました。

1日は、社長の小林規一さんなど3人の社員が見守る中、2階に掲げられていた社名の書かれた看板が取り外されました。

崙書房の書籍のうち、新書サイズの「ふるさと文庫」シリーズは、地元の特産品や災害、そして懸命に生きた人々の姿など、多彩なテーマを伝えてきました。

流山市で随筆の同人誌を発行している辻野弥生さんは、関東大震災直後の混乱でデマが飛び交う中、今の野田市で行商人が襲われ9人が虐殺された事件を取材していた時に、小林さんから出版を勧められ「福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇」を「ふるさと文庫」として出版しました。

辻野さんは「崙書房がなければ、読み書きが好きなだけの私が書籍を出版することはなかったと思います。出版のために、崙書房の人たちと奔走した日々は大切な思い出で、この貴重な出版社がなくなってしまうのは本当に残念です」と話していました。

崙書房出版の小林社長は「これまでやってきた仕事が終わるんだということを改めて実感しました。読者と、本を書いてくれた著者への感謝しかありません」と話していました。