香港(CNN) アジア地域で米軍の優位性が低下する中で、中国軍が開発を加速させているミサイルは、米軍基地をわずか数時間で圧倒し得るとする報告書を、このほどオーストラリア・シドニー大学の米国研究所がまとめた。

インド太平洋地域における米国の防衛戦略は「未曽有の危機の只中にある」と位置付け、中国に対する同盟国の防衛は困難を強いられる可能性があるとしている。

報告書ではさらに、オーストラリアや日本といった米国の友好国が自国の安全を保障するためには、自ら軍事力の増強と再編を行い、米国との連携強化を検討する必要があるとした。

中国軍はこの地域で、米国や他のアジア諸国に比べて圧倒的な進展を見せていると報告書は指摘。中でもミサイル開発については、「中国は強大な精密ミサイルなどの対干渉システムを配備し、米軍の優位性を低下させている」と述べ、ミサイルの数は数千基に上ると分析した。

米軍基地や主要友好国および同盟国の軍事拠点は西太平洋に集中している。報告書はそれらのほとんどすべてについて、「精密攻撃を受ければ衝突開始から数時間で使い物にならなくなる可能性がある」と予測している。

そうした事態に対応するため、オーストラリアや日本などが米軍の空白を埋めることが不可欠だと指摘。軍事演習を通じ現在日本本土と沖縄、グアムに集中する航空並びに陸上の攻撃部隊を、小規模かつ地理的に多様な活動拠点(南シナ海周辺)へと速やかに分散配備する必要性を強調した。

中国外務省報道官は19日、この報告書はまだ見ていないとしながらも、「我が国の国防政策は防衛を本質とする」とコメントした。

2019.08.21 Wed posted at 12:35 JST CNN
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