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グーグルに米当局が制裁金 子供の個人情報を違法収集
2019年9月4日 23:09

【シリコンバレー=中西豊紀】米連邦取引委員会(FTC)は4日、傘下の動画配信サービス「ユーチューブ」が子供のプライバシーを守らなかったとして米グーグルに1億7千万ドル(約180億円)の制裁金を科したと発表した。子供のプライバシーを巡るFTCの制裁では過去最大規模のもよう。企業に甘いとの批判もあったFTCだが、個人情報保護では攻勢を強めている。

連邦法では13歳に満たない子供の個人情報の取得には親の同意が必要だが、FTCによるとユーチューブはこれを怠っていたという。FTCは市民団体らの指摘を受け18年末からこの問題を調査していた。

ユーチューブはユーザーがアカウントを作成する時には13歳以上であることを求めている。アカウントを通じて会社が個人の閲覧履歴や嗜好に関する情報を取得できるようになっているからだ。子供向けには動画を絞った専用アプリをつくり、個人情報をとらない措置をとっていた。

だが、実際には13歳未満の子供でも大人と同じアカウントをつくり動画を視聴する事態が横行していた。FTCはユーチューブはこうした事実を知りながら効果的な対策をとってこなかったとしている。

FTCは2月にも、同様の法違反で米で人気の中国系動画サイト「ティックトック」の運営会社に570万ドルの制裁を発表した。7月にはフェイスブックに対しても個人情報の大量流出で50億ドルの制裁金を科した。

欧州では18年5月に個人情報の保護規制を強化するGDPR(一般データ保護規則)が導入された。米国はプライバシー問題には寛容とされてきたがフェイスブックの情報流出問題以降、風向きがかわりつつある。米当局の監視姿勢の強化は、データを扱う他企業にも影響を及ぼしそうだ。