縄文人の死生観
死を遠ざけなかった縄文人の生き方

「現代では死は忌み嫌われているイメージがありますが、縄文人にとって死はもっと身近でした。
この時代は、集落の中央にある広場にお墓を作ったり、家の中に埋葬したりすることが多くありました。
広場や家に遺体をしばらく置いていた例も見られます。つまり、彼らは死や死者を恐れていなかったのです」。

その根底にあるのが、「生命は再生する」「生命は自然の中を循環していく」という、「再生・循環」の観念です。

縄文時代には、生物だけでなく、この世に存在する全てのものに魂(アニマ)が宿るという思想「アニミズム」がありました。
縄文の人々は、常に周辺にさまざまな生命や魂を感じながら、生活していたことになります。
 
そんな生活において、人の死もまた、自然界に起こり得る当たり前のことの一つでした。
「縄文の人々にとっても死への不安や恐怖は当然あったと思います。
でも、風となり、鳥となり、星となり、自然に還って存在し続け、やがて再生する。
そう考えることは、彼らにとって『心の処方箋』として機能していたと考えています」。
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