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本州最強の「猛獣」ツキノワグマ。近年、京都・滋賀で目撃が相次ぎ、人間社会との距離が近づいている。
6月には滋賀県高島市で人が襲われ負傷し、10月には京都市左京区の市街地に出没した。もし、出合ってしまったらどうすればいいのか。

6月23日の午前5時前。高島市今津町梅原の男性(70)は、ガサゴソという物音で目が覚めた。自宅2階の窓から裏の畑を見ると、
柴犬ほどの大きさの子グマが2頭、畑にまいた野菜くずを食べていた。
 
追い払おうと、畑に向かった。親グマは見当たらない。近づくと、1頭は近くの樹木に登り、もう1頭は山へ逃げた。
 
そのとき、4メートルほど先にある高さ約1.5メートルの塀の上に親グマの顔が現れた。そう気づいた瞬間、左肩を引っかかれて倒れ、
とっさに出した左腕に痛みが走った。「やられた」。かみつかれていた。
 
男性は「むちゃくちゃ俊敏で、クマがどうやって塀を越えてきたのか、見る余裕がなかった」と振り返る。かみついた後、親クマは山に姿を消した。
男性は約30針を縫い、1カ月間は中指が動かなかった。今も傷跡が残る。
 
男性は「行ったら逃げるだろう」と思い、何も持たずに畑へ向かった。今は山に入るときは意識して足音をたて、自宅周辺の木は見通しを良くするために切った。
 
「こんな怖いもんと思わんかった。クマは別格だ」

■回避策、鈴やラジオ有効 「出合ったら静かに待つ」

クマに遭遇しないための注意点と、出合った場合の対処法を、東京農工大の小池伸介准教授(40)=生態学=と京都市動物園(左京区)への取材からまとめた。
 
小池准教授によると、クマは基本的に臆病な動物で、人に危害を加えるためでなく、パニックになって防護のために襲うという。
 
山林など生息域に入る場合、有効なのは鈴やラジオなど音のする物を携帯すること。「人より耳が良い」ため、先に気づいて逃げていく。
また、目撃情報を事前に仕入れ、樹皮?ぎの跡やふんに注意する。
 
それでも遭遇した場合、気づかれなければ、静かにクマが立ち去るのを待つ。気づかれても、大声を出したり逃げたりすると、逆に攻撃を誘発してしまう。
 
実は「必ずうまくいく」という正解はない、という。よく言われる「死んだふり」は、「クマは動物の死骸を食べるため、逆に食べられる危険もある」(市動物園)。
鼻を殴って撃退できたケースもまれにあるが、人間は一対一の格闘ではまず勝てない。立ち向かうのは厳禁だ。
 
小池准教授は「クマによる死亡事故で、最も多いのは失血死とみられる。『死なないこと』を目標にするなら、うつぶせになり、けい動脈を切られないよう、
両手で首の後ろを押さえてクマが離れるのを待つしかない」とする。ときは意識して足音をたて、自宅周辺の木は見通しを良くするために切った。




クマにかまれた傷跡が今も残る男性の左腕(高島市今津町梅原)

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