大阪府堺市堺区の土居川に20日、マイワシの大群がのぼってきているのを、元大阪府立環境農林水産総合研究所主任研究員の鍋島靖信さん(66)が見つけた。

 イワシの群れが見られたのは、国道26号の住吉橋の直下。旧堺港に注ぐ河口部からは1キロ弱のぼったところになる。国道を大型車が通って振動が起きるたび、体長20センチ程度のイワシの群れが行ったり来たりを繰り返し、しばしば水しぶきをあげていた。

 大阪湾の生物に詳しい鍋島さんによると、群れのイワシは10万尾ほど。湾奥で成長したイワシは水温が下がるこの時期に南下を始めるが、満潮で水位が高かったときに他の魚に追われるなどし、川に遡上(そじょう)してきた可能性があるという。

 沿岸に砂浜が広がっていた昭和30年代まで堺ではイワシの地引き網漁が盛んだったが、高度成長期に沿岸部が埋め立てられてからはすたれた。中世の環濠(かんごう)のなごりである土居川も高度成長期は汚濁がひどく、近くで生まれ育った鍋島さんも「これほどのイワシの群れがいたのは見たことがない」と驚く。鍋島さんは「川の水の浄化が進んだことも大きいのでは。堺にとってはうれしいことです」と話した。(加戸靖史)

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2019年11月24日13時13分 朝日新聞デジタル
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