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SOCIETY
6min2019.12.8
説得よりも大事なのは「希望やメリット」
「グレタ・トゥーンベリ的な言い方では、世界の人々は動きません」

スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ(16)も参加予定の、「COP25(第25回気候変動枠組条約締約国会議)」がスペイン・マドリードで開催中だ。

トゥーンベリは今回はどんなメッセージを発するだろうか? 「大人たち」に対するその激しい糾弾口調は世界中で賛否両論を呼び起こしているが、はたしてそのような言い方は「効果的」なのか? フランスメディア「レクスプレス」編集長が専門家に取材しつつ、代案を示す。

グレタが抱かせる「後ろめたさ」

「後ろめたさ」──それが、環境問題についてグレタ・トゥーンベリが世界中の指導者たちに抱かせた感情だ。

グレタがツイッター上で数百万人のフォロワーに投げかける扇動的で高揚したメッセージには、率直に言って、「この世の終わり」の危機感がにじみ出ている。

グレタは2019年1月のダボス会議でこう言い放った。

「私が毎日感じている恐怖を、あなた方にも感じてほしい。そしてあなた方に行動してほしいのです」

このスピーチを聞いて血の気が引いたのは、権力者だけでなかった。2019年、仏紙「ル・モンド」がフランス国民を対象にアンケートを実施したところ、「“個人的に”最も心配しているテーマは何か?」という設問への回答は、「環境保護」(52%)がトップだった。経済問題としての「購買力の低下」(43%)を上回っていた。

10年ほど前に生まれた「ソラスタルジア」という造語は、とりわけ若い世代のあいだに広まりつつある。気候変動によって引き起こされる心理的苦悩をあらわすために、オーストラリアの哲学者グレン・アルブレヒトが造った言葉だ。

さらにこの若い世代は、現代の新たな黙示録の騎手たる「崩壊学者」たちの退廃的な魅力にも惹かれている。
(リンク先に続きあり)

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