https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191216/k10012216871000.html

農林水産省の元事務次官が長男を殺害した罪に問われた事件の判決で、東京地方裁判所は
「『長男に殺されるという恐怖から刺した』とする被告の供述は信用性に乏しい」などとして、
懲役6年を言い渡しました。

農林水産省の元事務次官、熊澤英昭被告(76)はことし6月、東京・練馬区の自宅で、長男の英一郎さん(44)を
包丁で刺して殺害したとして、殺人の罪に問われました。

被告は起訴された内容を認め、裁判では被告が長男から家庭内暴力を受けるなどした事件のいきさつを踏まえて、
情状酌量がどの程度認められるかが争点となりました。

検察は懲役8年を求刑し、弁護側は執行猶予の付いた判決を求めていました。

16日の判決で、東京地方裁判所の中山大行裁判長は「『長男に殺されるという恐怖から刺した』とする
被告の供述は信用性に乏しく、ほぼ一方的に攻撃を加えたと認められ、強固な殺意に基づく危険な犯行だ。
主治医や警察に相談できたのに相談することなく、同居してわずか1週間で殺害を決意して実行した経緯には
短絡的な面がある」と指摘しました。

そのうえで「長男から暴行を受けて恐怖を感じ、対応に不安を感じる状況になったという事情が背景にあることは
否定できず、それなりに考慮すべきだ」として、懲役6年を言い渡しました。

被告 うなずきながら判決内容を聞く

熊澤被告はスーツとネクタイを身につけて、ややうつむきながら法廷に入ったあと、裁判長から法廷の中央にある
証言台の前のいすに座るよう促されました。

判決の冒頭で「懲役6年」という主文が言い渡された際には、裁判長のほうをまっすぐに見ながら聞いていました。

裁判長のことばを聞きながら、被告は内容を確認するようにしっかりとうなずいていました。

言い渡しが終わると、裁判長と弁護士、それに検察官に一礼して法廷をあとにしました。