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電卓というのは「電子式卓上計算機」の略。つまり電子回路を搭載した卓(テーブル)上に乗るサイズの計算機、ということである。

「計算機がテーブルに乗るなんて当たり前だろ」と思われるかもしれないが、いやいや、電子計算機が卓上サイズになったのって、たかだか50年ちょっと前の話なのだ。それ以前は真空管を大量に積んだタンスのような巨大なモノだったし、1963年にイギリスで発明された世界初の電卓だって、今のパソコンよりもずっと大きく(重量16kg)、専用の机にドカッと鎮座しているような形だった。

ちなみにその翌1964年には真空管の代わりにトランジスタなどを使った電卓がシャープ(当時は早川電機)とCASIOからほぼ同時期に発表されており、この年が国産電卓元年となっている。

……と、わざわざ電卓の歴史の話から入ったのは他でもない。今回紹介するCASIOの電卓「S100」が、2015年にCASIO電卓50周年を記念して作られた、おそらく電卓として空前絶後の究極クオリティを持つ製品だからだ。

計算機なんてアプリとしてスマホに入ってるし、わざわざ電卓なんて使わないよ、という人も多いだろう。しかし、平板な液晶内の数字ボタンをタッチするためには、常に画面を見続けていなければならず、ミスタッチも多い。慣れればキーを目視せずに素早く計算ができる電卓は、今でも会計士や経理事務の現場において必須のプロツールなのである。

単にボタンをポチポチ押して計算するだけの電卓なら、それこそ100均でも買うことができる。経理のプロが使う12桁表示や、早打ちに必須のキーロールオーバー(入力時、キーから指を離す前に別のキーを押しはじめても認識する)機能が付いているものでも、1,000円台から10,000円前後。

しかし、「S100」は定価でなんと29,700円(税込)。普段から無料のスマホアプリ電卓を使っている人からしたら、ちょっとありえない存在に感じるんじゃないだろうか。

高価格は「プロツール」としての優秀さのあらわれ

もちろんその値段には理由がある。

まず、ボディ自体がアルミ合金を削りだして作られた硬質なもので、表面はヘアライン仕上げ。ずっしりした重量感とソリッドな雰囲気は、プラ製の電卓とは完全に別次元の存在感だ。

小数点以下の四捨五入などを設定するスライドスイッチもアルミ製で、トップには高級オーディオのようなスピン目加工が施されている。スライドさせるとガチッ! ガチッ! と強い手応えがあり、勝手に変な設定に切り替わらないようになっている。

ディスプレイには、高コントラストで数字が鮮明に見えるFSTN液晶を採用。さらにハイグレードな眼鏡用レンズに施されている両面反射防止コーティングによって光の透過率を高めている。このコーティングが非常に優秀で、例えば従来の電卓と蛍光灯の真下で比較してみると、あきらかに照明の映り込みが無いのが分かるはず。

どんな環境下でもくっきりとした数字が読み取れるため、目の疲労感も大きく違ってくるだろう

なにより手が込んでいるのは、最も重要な入力キーである。

そのクオリティが一番分かりやすいのは打鍵した際の挙動で、試しにキーの端を押し込んでみると、キー全体がスッと真っ直ぐ沈み込むのだ。

これは、キー下部にV字ギアリンク機構(高価格帯のPC用キーボードに使われているもの)を備えているからで、キーのどこを押してもストロークの圧力方向がぶれないように作られている。
タンタンとスピーディーに打ち込んでもミス無く確実に入力が行われる安心感は、それだけでプロツールとしての優秀さの表れと言えるだろう。


2019.12.22 DANRO
https://danro.asahi.com/article/12976577