東京都渋谷区にある国内最大級のイスラム教のモスク(礼拝所)、「東京ジャーミイ・トルコ文化センター」に書店がオープンした。扱うのは宗教本だけでなく、イスラム圏の歴史や料理、科学などジャンルはさまざまだ。日本語の本を中心に洋書もそろえ、関係者は訪問者に宗教への理解を促し、知識欲を刺激する「知のオアシス」になることを期待している。


広報担当の下山茂さん(70)によると、東京ジャーミイは1938年に開設された「東京回教礼拝堂」を再建し、2000年に完成。イスラム教の祭日には2千人近くが訪れる。今年5月には、戒律に沿ったハラル食材を売る商店が施設内に開店した。

イスラム圏ではモスクを中心に学校や市場、書店が広がるのが一般的。東京ジャーミイでも、施設の建て替えで空きスペースができたのを契機に書店開設の話が持ち上がったといい、担当の西田今日子さん(48)は「ムスリムにとって本を読むのは大事なことで、自然な流れだった」と語る。

8月から仕入れを始め、12月までにそろえたのは800種類以上。イスラム文化のほか、歴史、ハラル料理のレシピや天文学など、多種多様な本が並び、1500種類程度まで増やす予定という。

日本のムスリムにとって、子どもに日本語で読ませる教材が少ないのが悩みの一つ。利用者からは「子ども向けの解説本を」との要望が多く、洋書を翻訳し、オリジナルの絵本を作成中だ。

西田さんは「知識や経験、出会いなど、訪れた人が何かしらの糧を得られる場所に育てたい」と抱負を語った。

2019/12/25 13:55 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53778940V21C19A2CE0000/