東京
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「バブル崩壊」というのは崩壊が終わってから気が付くものだ。日本でも「あのときバブルが崩壊していた」と崩壊後3年、4年経って関係者が口にし始めた。そのとき、その場にいる人間は気づかない、あるいは認めたくないという思いが働くのかもしれない。

いまの、中国がまさにその状態といえよう。いまや「中国人はお金持ち」と認識する者はほとんどいないのではないか。中国経済のバブル崩壊は、確実に進行している。その影響を最も受けるのが不動産価格である。もちろん、日本への影響も甚大だ。

はたして、2020年に不動産価格はどう変動するのか。本稿では、渡邉哲也氏の新著『世界と日本経済大予測2020』 (PHP研究所)より、中国バブルの崩壊が世界と日本の不動産におよぼす影響について述べる。
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不動産価格は臨界点に達した

多くの中国人が住宅ローンを抱えている。問題は、その規模だ。年収に対する不動産価格の比率がすでに日本のバブル期の1・5倍程度に達している地域もある。とくに上海、北京、深センである。

日本のバブル期の東京では18倍だったが、香港に隣接する深センでは年収の28倍〜29倍という信じ難いレベルに達している。もう、これ以上の不動産バブルによる上昇は期待できない。まさに臨界点と言っていい。

なぜこれほどまでに不動産価格が上がったのか。中国政府はここ12〜13年でマネーサプライを10倍にした。刷りすぎた紙幣は結果的に不動産で固定化され、それを担保にして投資に回る。信用創造によって経済の実体以上に大きく膨れ上がっているという構造だ。

この構造を維持するには、不動産価格の上昇が大前提となる。国が紙幣を大量に刷り、それが不動産価格の上昇を生む。不動産価格が上昇すれば、家を買った人の含み資産が増えることになり、結果的に可処分所得が増えるという正の連鎖が生まれる。これはまさにバブル経済そのものである。

ところが、不動産価格が上がりすぎてしまい、家賃収入があってもマイナス利回りという状態になってきた。14億人しかいない国家に、32億人分の不動産供給をすれば何が起きるかは子どもでもわかる。

日本のバブル末期も建てかけのマンション、建てかけのビルが多く並んだが、現在の中国は地方へ行くと建てかけの不動産が目につく。それはデベロッパーが次々に潰れていることの何よりの証左である。

ただし、日本の場合と異なるのは、それが大きく報じられないこと。それは中国の報道が官製報道であることと無縁ではない。


都心部のマンション需要は下がらない

さて、それでは日本において、「中国バブル崩壊」がもたらす不動産価格への影響を見てみよう。一時期、中国人による東京のタワーマンションの「爆買い」が話題になった。

多くは投資目的であり、税制改正によってタワーマンションを利用した租税回避(タワマン節税)の穴がふさがれ、2015年の中国株式バブル崩壊と中国からの資金持ち出し規制が厳格化されたことで大量の売りが発生した。

このため、豊洲やお台場など湾岸エリアの高層マンションも多く売り出されている。また、2019年の台風19号によるタワーマンションの構造的欠陥(停電で機能が停止する)も表面化し、東京五輪後はさらなる爆売りが予想される。

だが、こうした状況でも、都心のタワーマンションを買っているのが香港人である。カナダやオーストラリアに一時移住していた香港の富裕層がビジネス目的で香港に戻っていたが、香港のデモ以後、彼らは再び移住先に戻る動きが見られる。

そのため、日本にも香港からの移住者が多くなっている。現在、日本の高級マンションを購入しているのは、そうした香港の金持ちたちである。

これは当然、香港情勢を反映した投資である。投資としての旨味はなくなったが、いざという時に国外に逃げ出すための資産として価値がある。このため、実需により中央区や千代田区、港区の都心三区のマンション価格は再び上昇に転じている。

また、台湾人富裕層も香港人と同様の発想で買い続けている。しかし、これも地域差が大きく、便利な都心部に限定されたものになっている。これは地方も同様で県庁所在地などの土地中心部に限ったものであり、地域間格差は大きくなると思われる。

こうした動きから、東京五輪後の不動産価格の変動をおおよそ予想することができるだろう。

全文はソース元で 
12/27(金) 11:56配信
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