お正月を迎えて実家に行く。この日本人にとって普遍的な行事は、現代になっても変わることのない習慣のひとつだ。以前は地方に帰省する人が圧倒的に多かった。これは地方から東京や大阪などの大都市圏に、大量の若者が移動したからであった。

 だが現代では大都市圏の郊外で育った子供が、その実家へと帰る姿も目立つようになってきた。

「そうだ。親と同居しよう」

 団塊ジュニアをはじめ、大都市圏郊外で育った子供たちも結婚をして、そろそろ家を持つ年頃だ。だが都心居住の掛け声に乗って都心部のマンションを探そうにも、販売価格は暴騰。いくら金利が史上最低水準で貼りついていても、消費税が10%に上がった中、購入には二の足を踏む世帯が多いのではないだろうか。


 いっぽうでいつまでも元気でいたはずの親の顔を見ると、えらく老け込み足腰も弱っている。介護の二文字も現実に近づく。父親が一生懸命働いて住宅ローンを完済した家も築40年。傷みは激しい。そこで多くの人はこう考え始める。

「そうだ。親と同居しよう。二世帯住宅にすれば、ローンの負担も少ないし、子供の面倒も見てもらえる。将来的には親の介護もできる。一石二鳥どころか三鳥じゃないか」

 ということで、親と相談して二世帯住宅に建て替える。または親の家を売却して、「もう少し都心部に近いところで二世帯住宅を購入しよう」となる。

「同居型」と「分離型」という選択肢

 敷地が十分広ければ、親の家とは別棟で子世帯の家を建設できる。そうすればお互いに気兼ねなく生活ができ、親が年老いてきても常に目が行き届く。

しかし、都市部になると敷地に必ずしも余裕がないために、たとえば1階部分を親世帯、2階部分を子世帯といったように分けて暮らすスタイルが主となる。

 一つの建物に親と子の二世帯が暮らす場合、家の構造には「同居型」と「分離型」の2種類がある。「同居型」は、キッチンや浴室などを共用として、階を分かれて暮らすスタイルだ。「分離型」は各世帯でキッチンや浴室を持ち、壁を隔てて暮らすものとなる。

二世帯住宅の意外な“やっかいさ”

 このスタイルの住宅は、どちらかといえば昔ながらの三世代同居を実現した家ということができる。昔の家はたいてい三世代が同居し、お互いが助け合いながら生活をするものだった。

 現代の特に都市部では、こうした広い家を確保することは難しいし、親世帯と子世帯が全くプライバシーもなく暮らすことには抵抗感を覚える人も多い。同じ家の中でも互いの生活スペースは分けて暮らそうということで、二世帯住宅ができたのだ。

 ところがこの二世帯住宅は、不動産マーケットの観点で言えば、やっかいものだ。

親が亡くなった後に「持て余す」子世帯




 二世帯住宅にとって、はじめの「やっかい」が、親が亡くなった後の“親世帯部分”の扱いである。親がいなくなった後を子世帯が使えば当分の間、問題はないのだが、最近の親は長生きということもあって、親が亡くなる頃には子世帯でも、すでにその子供、つまり親からみた孫たちが卒業して家を出ているケースが多い。

 もちろん孫世帯が親世帯のあとに入居してくれれば、昔の日本の標準的な三世代同居の状態が継続できるので問題解決なのだが、今の孫世代でそうした選択をする世帯は多くない。むしろ、都心部に出てマンション暮らし。親の不便な家には戻ってこないという子供も多いだろう。

とはいえ、夫婦だけとなった子世帯が親世帯の分まで使おうにも、家は中途半端に広く、「分離型」で水回りなどがすべて別にあれば、掃除やメンテナンスも「やっかい」ということになる。

 また、親世帯部分だけを人に貸そうと思っても、玄関や水回りが一緒では貸しようがない。こうして無駄に広い家を相続した子世帯は、それを「持て余す」ことになるのだ。

 いざ「売ろう」と思っても、自分たちが住む限り、親世帯の部分だけ切り離して売るためには、別棟にでもなっていなければ難しい。仮に別棟であっても、敷地が狭く、道路付けが十分でないと、分離して売ること自体がそもそもできない。

6時間前 文春オンライン
https://bunshun.jp/articles/-/22209

★1 2019/12/30(月) 12:09:42.59
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