https://r.nikkei.com/article/DGXMZO54034010U0A100C2NNE000
中国外交トップ、武力行使に反対 米国務長官と電話協議

【北京=羽田野主】中国の外交担当トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は3日、米軍がイランの有力司令官を殺害したことを巡り、ポンペオ米国務長官と電話協議した。楊氏は「国際関係において武力を使用するのに一貫して反対する」と強調した。「米国が自制を保ち、対話を通じて緊張緩和を進めるように希望する」と伝えた。

中国国営の新華社が伝えた。中国外務省の耿爽副報道局長も3日の記者会見で、米軍のイランの有力司令官の殺害を批判した。イランの司令官がイラクの首都バグダッドで殺されたことから「イラクの主権と領土は尊重されるべきだ」とも述べた。

中国とイランは関係強化に乗り出したばかりだった。2019年12月末にはザリフ外相が訪中し、王毅外相と会談。王氏は「米国はイランの核合意を一方的に離脱し、イランに対し極限の圧力をかけている」と批判した。12月下旬にはオマーン湾海域で中国とイラン、ロシアの3カ国で、初めての海上軍事演習を実施した。「海洋運命共同体」を掲げ、イランと連携を深める姿勢を示した。

一方で米中は貿易交渉の第1段階合意の署名式を1月15日に開く予定。習近平(シー・ジンピン)指導部はこれ以上の対米関係の悪化を避けたいのが本音で、米国とイランの双方に緊張緩和を働きかけていくとみられる。

2020年1月4日 12:22 日経