子どもの交通事故死ゼロ!

 2020年1月3日に、「ノルウェーの子ども(16歳未満)の交通事故死が2019年は0人、快挙」というニュースを見た。確かに、国レベルで1年間の子どもの交通事故死がゼロとはたいへん喜ばしいことだ。

 日本の子どもの最近の交通事故死(カッコ内:人)のデータを見てみよう。

2016年:0歳(3)、1-4歳(28)、5-9歳(34)、10-14歳(26)、合計91人

2017年:0歳(9)、1-4歳(21)、5-9歳(31)、10-14歳(15)、合計76人

 ノルウェーの人口は530万人なので、日本と比較することはむずかしいが、国として子どもの交通事故死ゼロを達成したことはすばらしいと思う。

 ノルウェーと同じくらいの人口を持つ兵庫県(546万人)、福岡県(511万人)の子どもの交通事故について調べてみると、兵庫県では、15歳以下の交通事故死者数(2009年〜2018年)は1年間に1人から7人で、平均すると年に3.7人であった。同期間の負傷者数は3,224人から1,863人に減少していた。福岡県(2018年)でも子どもの死者数は3人、負傷者数は2,910人であった。

 死者数を比べてみると、ノルウェーの状況とわが国の状況は大きくかけ離れているとは言えないように思う。

交通事故死が減っているのはなぜ?

 交通事故に関しては、事故現場で警察官が現場検証をし、そのデータを交通事故総合分析センターに送る。交通事故総合分析センターでデータの分析が行われ、発生件数が多いものや、重症度が高いものについて詳しく分析され、毎年、対策の必要性が示される。それに対応して、「ながら運転」の罰則を強化したり、高齢者対策を進める。自動車会社では、これらのデータをもとに安全対策を装備した車を開発する。これらによって、交通事故死者数や交通事故件数は着実に減少している。

 また、交通事故に関するデータはすぐに発表される。2020年1月6日、警察庁から2019年中の交通事故死者数(24時間以内)は3,215人と前年より317人減少し、3年連続で戦後最少を更新したと発表された。これは、いろいろな対策が効を奏しているということだ。

交通事故死ワーストワン

 警察庁から2019年の交通事故統計が発表されたことで、交通事故死者数の順位が判明した。これまで愛知県がワーストワンの座にあったが、昨年は千葉県がワーストワンになり、愛知県が16年連続ワーストワンの座から降りたことがニュースになっていた。このニュースでは、警察の具体的な取り組みが紹介されていた。高齢者の交通事故対策としては、事故の発生場所と高齢者が多く住む地域を重ね合わせて検討し、高齢者事故は自宅から半径500m以内であるデータなどを組み合わせて科学的な対策を行っていることが紹介された。このような取り組みが有効であることがよくわかった。

 メディアは、行政や企業の失策や対応しないことを取り上げて批判することが多いが、うまくいったことはなかなか取り上げない。今後は、対策が効を奏したことも積極的に取り上げていただきたい。そうすれば、他の分野でもそういう活動が必要であると認識しやすくなるはずだ。

全文はソース元で
1/12(日) 9:00
https://news.yahoo.co.jp/byline/yamanakatatsuhiro/20200112-00158485/