老後に必要な蓄えは、年金以外にどのくらい必要なのか。
昨年、国民的議論を巻き起こした「2000万円問題」について、ちまたの高齢者に聞くと、「老後に2000万円なんて要らないよ」と、騒ぎをいぶかる声もある。
年を取ると「欲望」が失せ、お金を使う必要がなくなるからだという。
とはいえ、少しの預貯金ではすぐに使い果たしかねず、老後も定期的に収入が入る工夫が重要だ。

「若いころは、あれこれ洋服を買っておしゃれするのが好きだった。でも、今は、まったくそんな気にならない。足が痛いので、買い物に出かける元気もない。そんなにたくさん、お金は要らない」(東京都杉並区の80代の女性)
「若いころは会社から給料をもらったら、いの一番に車を買いに行った。今は消費欲がないし、遊ぶ体力が続かない。収入は年金だけで少ないけど、お金の使い方にシビアになるから、やっていける。そもそも、周りに2000万円も貯金がある人なんていないよ」(北九州市の70代の男性)

最近、社会保障問題をテーマにした取材で出会った高齢者は、「老後2000万円問題」に絡んで、こう感想を述べた。
そして、みな口にしたのが、「『大変だ、老後に2000万円も必要だ!』とパニックになっているのは、お金を使って消費したい意欲がまだまだ盛んな、40〜50代の人たちではないか」ということだ。
ここで、「老後2000万円問題」とはどんなものだったか、おさらいしてみよう。
そもそもの発端は、金融庁金融審議会の市場ワーキング・グループが昨年6月3日に、報告書(「高齢社会における資産形成・管理」)をまとめたことだ。

報告書の試算よると、65歳以上の男性、60歳以上の女性の夫婦だけの無職世帯は、公的年金を中心とする収入約21万円に対し支出が約26万円で、月約5万円の「赤字」になる。
この夫婦がさらに20年生きれば約1300万円、30年生きれば約2000万円が不足し、預貯金などの金融資産を取り崩すことが必要に。
少額の積み立てや分散投資で、資産形成を始めることも勧めた。

この試算を受けて世論が過剰に反応した理由の一つが、2000万円という額があまりに巨大だからだ。
たとえば、45歳の人が65歳までの20年間で2000万円を蓄えようとしたら、1年間で100万円、1カ月間で8万〜9万円を貯める必要がある。
これは、だれもが簡単に貯められる額ではない。
国税庁が昨年9月に発表した「平成30年分民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の年間の平均給与は441万円(男性=545万円、女性=293万円)。
単純計算すると月当たり約37万円(男性=約45万円、女性=約24万円)になる。

住宅ローンの返済や子供の学費がかかる世代が、毎月37万円の中から8〜9万円をひねり出すのは至難の業だ。
税優遇のある「iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA(少額投資非課税制度)」などを活用して資産運用する手もあるが、思い通りにお金が増えないだけならまだしも、元本割れのリスクもある。
一方、2000万円といわず、数百万円の貯金に成功したとしても、あっという間に使い果たしてしまう可能性がある。
取材を通した実感では、配偶者と死別したり離別したりした高齢者は注意が必要だ。

取材したある一人暮らしの高齢者(男性)は、会社を定年退職後、寂しさもあって毎晩のようにカラオケや居酒屋に通い詰め、百数十万円の貯金をわずか2年で使い果たしてしまった。
特に無駄遣いせず普通の生活をしていても、数百万円程度なら、すぐ使ってしまう可能性がある。

むしろ必要なのは、預貯金をある程度、用意しながらも、老後も収入を継続的に受け取れる準備をしておくことだ。
最も有効なのは、仕事を続けることだろう。
企業は高齢者にもっと門戸を開く必要がある。
高齢者自身は、元気に働けるくらいの健康を維持しておかなければならない。

もう一つは、生活の支出をなるべく減らすことが必要だ。
生活の苦しい高齢者を支援をしている人らに聞くと、特に大きいのは家の支出だ。
月10万、20万円といった住宅ローンの返済を続けていたら、生活は苦しくなる。
可能なら現役を引退する前にローンの返済を終え、家を完全に「持ち家」にしておくほうがよい。

続きは下記をご覧ください
https://www.sankei.com/premium/news/200125/prm2001250003-n1.html
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★1:2020/01/25(土) 18:26:35.24
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