新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で、中国の生産や物流が滞って物価が急騰している。

 1月の消費者物価指数(CPI)上昇率は5・4%と8年3カ月ぶりの高水準。物流や市場が整っている北京市でさえ、市場によっては白菜は1月の春節前の3倍、大根とキュウリは2倍の値をつけている。

 上昇の主因は二つの疫病だ。まずアフリカ豚熱(ASF)の流行で豚肉が品薄となり、1月の豚肉価格は前年比2倍以上の水準に。CPI上昇率でみても、昨年12月はASFを主因に4・5%まで上がった。追い打ちをかけたのが1月下旬以降に急拡大した新型肺炎。国家統計局の董莉娟・高級統計師は10日発表の1月のCPI上昇について「春節と新型肺炎が影響した」と解説した。

 感染拡大で人々が外出を控えようと、物資の買い占めが各地で起きた。各地方政府は感染拡大を防ぐため人の移動を制限。外との人の往来を一切遮断する地区もあり、産地からの出荷を含め物流が滞った。春節明けの2月も働き手が郷里から元の職場に戻りきらず、物流網の回復は鈍い。多くの地方政府が10日には工場の操業を解禁したが、人手不足や感染拡大への恐怖から生産再開が遅れている。

 マスクなど感染防止に必要な品だけでなく、白菜など生鮮食品も大幅高だ。国営新華社通信によると、河南省鄭州市のスーパーは白菜1個を63・9人民元(約1千円)で販売。上海市のスーパーはレタス価格が8倍。山東省政府は高騰を防ごうと、感染防止グッズや生活必需品を仕入れ値から35%超値上げして売れば処分するとの通知を出した。

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