静岡県の川勝平太知事は12日の定例記者会見で、リニア中央新幹線工事に伴い大井川の中下流域の水利用に影響が出た場合、補償の請求期限を設けない方針をJR東海が示したことについて「一番の問題は工事の(水利用への)影響をどう証明するか、誰が証明するかだ」と述べ、現在の補償方針では不十分だとの認識を示した。

 流域には地下水への影響は数十年後に表れると心配する声があり、専門家は地下水が減っても工事との因果関係を立証するのは難しいとして「泣き寝入り」を懸念している。

 JRは7日に開かれた県議会最大会派自民改革会議の勉強会で「影響が生じた場合は工事完了から何年以内というような期限を設けずに補償する」と記した資料を所属県議に配布した。一部県議は、原則30年間の補償を受けられる期間が無期限になると受け止めたが、JRによると、無期限にするのは補償を請求できる期間。因果関係が認められた場合に限って補償する方針に変わりはなく、「泣き寝入り」が解消されるかは不透明だ。

 川勝知事は「(JRの方針には)曖昧なところがあり、もっとはっきりと言ってもらう必要がある」とJR側に求め、工事と地下水の減少について「科学的に因果関係を証明するのは難しい」との見解を付け加えた。

 また、川勝知事は国土交通省の水嶋智鉄道局長と12日午前に県庁で会談したと明かし、新設される専門家会議に関し「(県が求めた)5条件は全部受け入れられた」との認識を示した。ただ、会談では、国交省が議題に指定した「トンネル湧水の全量の戻し方」「中下流域の地下水への影響」の2点と別の課題を並行して議論するよう求め、水の公共性を記した水循環基本法に詳しい人が参加すべきだとメンバーの選定にも注文を付けたという。難波喬司副知事が13日に国交省を訪れて細部を詰める。

2/13(木) 7:51配信
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