茨城県内で2019年に落とし物として交番や警察署に届けられた現金は計約3億2500万円に上ることが、県警のまとめで判明した。県内で毎日、約90万円が落とし物として届けられている計算になる。【韮澤琴音】

 県警によると、19年の現金の落とし物の総額は前年より約5000万円増え、過去最高だった17年の3億3000万円に迫る金額となった。すべての落とし物を件数でみた場合、現金が約3割を占めた。

 1件の金額が最も高かったのは、19年2月に県北地域の民家で段ボールに入った約4000万円が見つかったケース。住人に心当たりはなく、警察に届けた後に持ち主に返還されたという。

 19年の1年間で、持ち主に返還された落とし物の現金は約2億2900万円。約5000万円が拾得者に引き渡され、持ち主が分からずに拾得者も所有権を放棄した約4500万円が、県の歳入となった。

 現金も含めた全ての落とし物の受理件数は28万4604件で、08年に統計を取り始めて以降、連続で最多を更新した。現金以外の内訳は多い順に、財布1万4240件▽傘1万3140件▽かばん1万462件▽鍵7710件▽会員証6097件▽手袋5084件。これら以外の物品をまとめた「その他」が13万5500件あった。

 一方、19年の県内すべての落とし物のうち、持ち主に返還されたのは1割程度にとどまるという。返還の数を増やすため、県警の担当者は遺失届の提出や、県警ホームページ上にある落とし物検索サービスの利用を呼びかけている。

希少動物も

 犬や猫をはじめ、希少動物やドローンまで、警察にはさまざまな落とし物が届けられている。

 県警によると、交番や警察署などで19年に受理した落とし物のうち、犬は385件、猫は175件含まれていた。

 希少動物の例としては、アフリカに生息する「サバンナオオトカゲ」が11月、ひたちなか市の路上で見つかった。市職員が警察に届けたが、飼い主は見つかっていない。期限までに判明しなければ、かすみがうら市水族館に譲渡される予定という。

 大洗町の観光施設の駐車場では6月、熱帯魚のドクターフィッシュ11匹が発泡スチロールに入った状態で見つかった。施設の従業員が届け出たが、持ち主は見つからず、保護して育てていた従業員に引き渡されたという。

 近年、小型無人機ドローンの落とし物も目立つ。19年は22機で、3年連続で20機を超えた。田畑や路上で見つかることが多く、19年に持ち主に返還されたのは2機だけだった。

写真=水戸警察署に保管されている落とし物の傘=水戸市三の丸で
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