新型コロナウイルスの感染拡大を受け、消毒液の需要が急増し、ドラッグストアなどでもほとんど商品を見かけなくなるなど、全国各地で品薄状態が続いている。消毒液を製造している医療機器・育児用品・化粧品メーカーの「ジェクス株式会社」(本社・大阪市)では、年間製造量をはるかに超える量をすでに受注。兵庫県丹波篠山市味間奥の製造工場はフル稼働状態で、従業員を2交替制にするなどして対応しているが、液を入れる容器メーカーの生産が追いついておらず、「異常事態。少なくとも発送までには3カ月待ちの状態」と話す。

 同社は自社製品のアルコール消毒液のほか、大手医薬品メーカーの消毒液も生産。自社製品を作る余裕がほとんどないほど、メーカーからの発注がかかっている。

 300ミリリットル入りのメーカー商品は、昨年で年間80万本を製造。今年は新型コロナウイルスの拡大が広がった1月からの2カ月で40万本を超えたほか、すでに4月からの3カ月で100万本を受注している。

 消毒液の製造は例年、インフルエンザ予防などのため、冬季がメーンと言い、春先からの増産は異例という。

 通常勤務に加え、午後から夜遅くまでの勤務を作り、2交替制でフル稼働しているが、「まったく間に合っていない」(同工場)のが現状。別工場からの応援も受けている。

 同社は、「とにかく忙しいが、品質は維持するよう細心の注意を払っている」と言い、「マスクのメーカーなども必死で対応されており、『商機に対応している』とも言えるけれど、早くコロナが収束してほしいと願う面の方が強い」と複雑な気持ちを吐露する。

 一方、同社で作った製品がインターネットなどで転売されており、通常1200円程度の商品が5000円や、中には2万円の値が付けられているものもみかけたと言い、「本当に必要とされている人に届いていないのが残念」と話している。

 同社の梶川裕次郎社長は、「災害や感染症の拡大は喜ばしいことではない。また、今、増産で大幅に雇用を増やしたとしても、その後も雇い続けられるかは分からず、会社としてはとても難しいところ」と言い、「それでも、弊社としては、メーカーとしてできることで社会に貢献していきたい」とした。

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