相模原市の知的障害者施設で入所者19人を殺害した罪などに問われ死刑を求刑された植松聖被告に対し、午後1時半から横浜地方裁判所で判決が言い渡されます。午前中に行われた傍聴席の抽せんには多くの人が訪れ高い関心を集める中、裁判所がどのような判断を示すか注目されます。




相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の元職員、植松聖被告(30)は平成28年7月、入所者19人を殺害した罪などに問われました。

判決は午後1時半から横浜地方裁判所で言い渡される予定で、午前中、裁判所近くの公園で傍聴席の抽せんが行われ多くの人が訪れました。

ことし1月から16回にわたって開かれた裁判員裁判では被告の責任能力の有無が争点となり、検察が「完全責任能力があり、卑劣で冷酷無比な犯行だ」として死刑を求刑したのに対し、被告の弁護士は「大麻を長期間使ったことによる精神障害で責任能力はなかった」として無罪を主張しています。

被告は裁判でも障害者への差別的な主張を繰り返し、「どんな判決でも控訴しない」などと述べています。

障害者施設で19人もの犠牲者が出た凄惨(せいさん)な事件で、どのような判断が示されるか注目されます。


被害者の家族「やっと終わる」

事件で一時、意識不明の重体となった尾野一矢さん(46)の父親の剛志さんは判決を前に、「3年半以上たってようやくひと区切りがつくのかなという気持ちです。遺族も被害者家族もみんなが望んでいる刑が言い渡されることを期待しています。心を引き締めて裁判長のことばを聞きたいと思います」と話していました。

また、母親のチキ子さんは「できることなら被告の存在をなかったことにしてほしいと思うくらい、事件に関わった人はみんなくたびれ果てていると思います。息子が傷つけられた日からずっともやもやした気持ちをもって過ごしてきましたが、やっとこれで終わります」と話していました。


判決の日 現場では

事件の現場は、当時の建物が解体され新しい施設の建設工事が進められていますが、16日は判決を前に施設の元職員や地元の住民が献花に訪れ、犠牲者を悼みました。

犠牲となった入所者を担当したことがある元職員で裁判も傍聴した太田顕さん(76)は「きょうは一つの節目となる判決を迎えるが、このような事件を二度と起こさせないという気持ちで、裁判を見守りたい」と話していました。

また近くに住む鈴木哲夫さん(73)は「被告には罪を償ってもらうしかないが、彼のような人物を生まないよう私たちに何ができるか考え、障害のある人と生きていける社会を作っていきたい」と話していました。

2020年3月16日 11時36分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200316/k10012333491000.html