「文春オンライン」編集部では、新型コロナウイルス感染拡大を受け、読者に「一斉休校・コロナ休校」についての体験談を募った。

 コロナ騒動で一斉休校を余儀なくされている小中高校では、授業だけでなく、さまざまな学校行事や部活動も休止に追い込まれた(3月23日に原則すべての学校が再開と萩生田文部科学大臣が発表)。

 通常の卒業式ができなかったりと児童生徒たちがかわいそうだという声もあるが、教育の現場では部活動や行事がなくなったことで、逆に見えてきた問題も少なくないようだ。中学教員のしんじさん(仮名、30歳男性)の体験談を紹介する(取材・文=素鞠清志郎/清談社)。

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一斉休校中も部員に個別に電話をかけ……ブラック部活動にすべてを捧げる教員たち
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個別に部員に電話をかけ……「抜け道」を探す教員たち
 新型コロナウィルス感染症対策による臨時一斉休校に伴って、部活動も休止となり、中学校で教員として働く私も休むことができました。久しぶりに自分の時間が持てたことによって、日頃から薄々感じていた、学校というブラックな職場環境が浮き彫りになったような気がします。

 特に感じたのは、部活動のありかたです。

 今回の臨時休校では、課外の部活動も休止になりました。そんななか、部活動の指導に熱心な教員はフラストレーションが溜まっているようで、生徒たちに指導できないというイライラを募らせていました。

 せっかくチームがまとまってきているのに……。選手の記録が伸びてきているのに……。そんな理由があるのかはわかりませんが、一部の部活動の指導に熱心な教員は、どのような事態でも指導が止まってしまうことが許せないようです。

 なかには、生徒たちに学校ではない公園や広場に集まって自主練習をするように仕向けたり、個別に生徒に電話をかけて、自主的なメニューをこなすように指導する教員もいるようです。

 こんな「抜け道」を探してまで部活動に執着するのは、このような指導が今回の騒動前から常態化していたからだと思います。

部活動ガイドライン策定後も変わらなかった実態
 そもそも、部活動指導は勤務時間外に行われる無償の「ボランティア」。部活動後に仕事をするため残業は必須ですが、その場合の残業代は出ないなど、教員の負担がとにかく大きい。

 部活動が教員や生徒たちを過度に拘束していることは、以前から問題視されていました。2018年に各省庁が策定したガイドラインでは、平日は2時間程度、休日も3時間程度の活動に制限することが規定されています。それに、平日なら1日、休日は土日どちらか1日、あわせて週あたり2日の休養日を取ることも明記されている。

 でも、実態は守られていません。時間外の朝練、自主練は当たり前だし、放課後はあたりが暗くなるまでやっている。大会前になると、休日返上で1日中練習していることもあります。

 私が勤める中学校の場合は、各教員が最低ひとつは部活動の担当をすることになっています。この担当の割り振りは主に挙手制で、特に自分がその種目に打ち込んだ経験があるような教員は、自ら手を上げて担当となり、授業そっちのけで部活動の指導にのめり込み、時間外練習を繰り返していく。こうした行為は職場内でも問題になるどころか、熱心な教員として賛美される風潮があるんです。

 管理する上司も、あまりに行き過ぎた時間外指導については注意することもありますが、基本的には見逃しているのが現状です。

 このような状況のため、ガイドラインに沿った指導を徹底しようという声は小さくなりますし、意識の高い教員が問題提起しても曖昧に処理されてしまいます。

 部活動に限らずですが、こうした時間外労働をすることが良しとなってしまうと、教員の仕事は増える一方ですし、働き方改革なんて夢のまた夢だと思います。

保護者からも「休校は仕方ないが部活は続けて」の声
 保護者の中には、今回の臨時休校で授業は無いのは仕方ないが、部活は続けてほしいと憤っている方もいました。家族ぐるみで、部活動に対して真剣に打ち込んでいるという家庭もありますが、中には、放課後も子供を学校の管理下においておけるということで部活に依存している保護者の方もいます。

全文はソース元で
3/24(火) 11:57配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200324-00036786-bunshun-soci