4/11(土) 22:50配信
Web東奥

 「あってはならないことが起きた。地域の方々に深くおわびする。今はとにかく感染した方たちの回復を祈る」−。入居者と職員の計9人が新型コロナウイルスに感染した、青森県十和田市の高齢者グループホームの男性施設長が11日、取材に応じ謝罪した。感染者以外の入居者を受け入れ続けるため、残された職員たちが休めずに勤務する一方、併設するデイサービス施設などは運営できなくなっている現状を語った。

 施設長は取材に応じた理由を「『十和田がめちゃめちゃになってしまう』など地域の方から怒りの声が寄せられている。責任者として申し訳なく思っているが、自分自身が濃厚接触者であり、謝罪に出向くことは難しい」と語った。

 感染していない職員の中でも、子どもを預けられず出勤できない人もおり、16人体制だった勤務体制を約10人で回している。「いつまで続くのか先が見えないが、自分たちの施設なので頑張るしかない」という。

 人手不足でデイサービスは維持できず、最初の感染が確認された日の翌日(10日)から休業とした。30人ほどいたデイサービス利用者を他施設で受け入れてもらうよう、ケアマネジャーを通じて依頼しているが、受け入れをためらう施設が多く、難航している。

 一方、これまでの県の会見などで(1)職員のマスク着用が徹底されていなかった(2)職員の中に関東方面へ行き来した人がいた−との指摘があったことについては「マスクの在庫が少なくなる中、全員に行き渡らなかった面はある」、「関東方面へ3人の職員が、別々に出掛けた。理由は子どもの引っ越し、結婚式など。PCR検査は全員陰性だった」と説明した。外部からの面会謝絶を徹底していなかったことについては「不要不急の面会は控えてもらっていたが、強く要求され断り切れないこともあった。自分の弱さだった」と振り返った。

 施設には感染判明以来、電話などでクレームが相次いでいる。「地域を巻き込んでしまった。お怒りの気持ちは、きちんと受け止めなければならない。新型コロナウイルスは人の命(を奪う)だけでなく、地域をも壊してしまう。今後も地域に根差した福祉事業所としてやっていきたいという願いはあるのだが…」と語った。

 施設長へのインタビューは感染拡大を防ぐため会見形式とせず、十和田市政記者会の幹事社(4月担当は東奥日報社)が代表して電話取材で行った。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200411-00000009-webtoo-l02