東京一極集中と言われる日本ですが、地方に目を移すと「ローカルルール」と呼ばれるカルチャーがたくさんあります。中でも自転車は代表格で、サドルの低さやママチャリの多さなど、様々な「ローカルルール」が見つかっています。そんな自転車にまつわる「ローカルルール」でも、斜め上をいくのが長崎です。そもそも「自転車に乗らない」というのです。いくら坂が多いとはいえ本当なのか…? 現地で調べてみました。(朝日新聞デジタル編集部・影山遼)

【画像大量】こっちの自転車はサドルが低すぎ…福井、謎の地元ルール「おしゃれでしょ?急ぐ時は立ちこぎ」

配達がきつかった福山雅治さん
以前、「福井の高校生、なぜサドル低い」という記事を世に出した時、読者の方から様々な感想をいただいた中に「長崎の人はそもそも、自転車に乗れません」という声がありました。

たしかに長崎や北海道の小樽といった街は坂が多いイメージがあります。検索で調べると、どうやら自転車店はあるようです。

今から1年前の2019年4月、別件で訪ねた際に長崎市の中心部を散策してみると、たしかに坂であふれています。乗れないというより乗る場所がないようです。ずっと立ちこぎをしたとしても難しそうです。

俳優で歌手の福山雅治さんも以前、インタビューに「長崎ですから坂が多いので、きつかったですよ」と新聞配達をしていたという当時の思い出を語っていました。

▼▼実は僕、新聞少年だったんですよ。小学校高学年から中学生のころかな、母と兄と3人で、区域を分担して、毎朝5時から配達してたんです。長崎ですから坂が多いので、きつかったですよ。肩からこう新聞入れをたすき掛けにして、細い路地を走って配達してました。長崎の地方紙だったんですけど、まさか自分が配達した新聞の1面に自分が載ることになるとは、もちろんそのときは想像すらしてませんでしたね。――2010年4月8日 朝日新聞朝刊「福山雅治さん『春の新聞週間』インタビュー 」▲▲

「乗ろうと思ったことがない」
中心部を歩いていても、全く自転車に乗っている人が見つかりません。

帰宅する市内の高校3年生の女性(18)=年齢などは以降いずれも2019年4月の取材当時=に聞いてみると、「自転車?そういえば見かけないですね。乗れないというか乗ろうと思ったことがないというか。道も狭くて怖そうなんですよね」と教えてくれました。

▼▼長崎市内の道路は狭いところが多い。市内を通る国道ではバスが車線からはみ出るほどのところもある。自転車専用通行帯は市内にはなく、車と歩道の間は通行量の多いバイクが通り抜けるため、自転車が通るすきはなさそうだ。――2017年5月1日 朝日新聞デジタル「長崎育ちは自転車苦手? 坂多く、保有台数は全国最少」▲▲

1時間ほど探し回ってようやく、有名な観光地「オランダ坂」のふもとにある「長崎みなとメディカルセンター」の近くで、奇跡的に自転車に乗っている人を見つけました。

ママチャリに乗っていた男性(67)は「ここら辺の平らな道を移動する時だけ使うね。坂?電動じゃない、この自転車じゃ無理でしょ」と話します。

結局、1時間半で見つけたのはこの自転車ともう1台の計2台にとどまりました。

店頭には原付き30台と自転車2台
ではなぜ市内に自転車屋があるのでしょうか。話を聞いてみました。

グラバー園にほど近い「小松自転車商会」で働いていた男性は「長崎は自転車なんて全く売れない」と笑いながら話します。店内を見回しても30台くらいある原付きバイクに対し、自転車は2台のみ。しかもどちらも中古で、自転車店なのか原付き店なのか分かりません。

男性も「売れ筋はもちろん原付き。自転車は中古車が半年に1回売れれば良い方で、新車が売れた記憶がありません」と言い切ります。店に訪れる客もほとんどが原付き目当てで、自転車はたまにパンクの修理がある程度だそうです。

2018年の自転車産業振興協会の調査によると、推計ですが、長崎県の1世帯あたりの自転車の保有台数は0.556台で最下位。

全国平均は1.226台のため、約2倍の差があります。46位の沖縄県も0.695台のため、かなりの差をつけられています。

全文はソース元で
4/13(月) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200408-00000002-withnews-l42
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