新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染の疑われる人が専門外来を受診するために移動する際、タクシーを使うケースがあるとして運転手らが不安を募らせている。全国ハイヤー・タクシー連合会の市村祐二副会長(67)=石川県タクシー協会会長=は「運転手は感染の危機にさらされており、国には環境を整えてほしい」と訴えている。

 感染の疑いがある人は各地の帰国者・接触者相談センターに相談し、専門の「帰国者・接触者外来」で診察を受ける場合、公共交通機関を使わずに来院することが原則。だが実際は病院が徒歩圏にない人も多く、自家用車がない場合、タクシーを利用するケースがあるという。

 石川県内では3月下旬、ある運転手が男性客を乗せ、病院の正面ではない出入り口で降ろすと、飛沫(ひまつ)を防ぐフェースガードのようなものを着けた看護師ら数人が出迎えた。これを見た運転手は「感染の疑いがある人だったのか」と初めて知り、驚いたという。病院に電話した市村氏は「病院から『申し訳なかった』と言われたが、こちらは運転手の健康を守らなければならない」と憤る。

毎日新聞2020年4月15日 13時48分(最終更新 4月15日 13時48分)
https://mainichi.jp/articles/20200415/k00/00m/040/133000c